尿路結石症診療ガイドライン 2013年版

 
2 診断・治療
CQ 18
ESWL から他の治療法に変更を決断する時とは?
推奨グレード
B
腎結石に対する初回ESWL で破砕状況が不良の場合,他の治療法が引き続く治療としては選択されるべきである。
推奨グレード
B
10 mm を超える尿管結石に対する初回ESWL の破砕状況が不良の場合,TUL が次の治療法として選択されるべきである(第1 選択でもよい)。
推奨グレード
B
ESWL 後の多量の滞留するstone street や尿路感染症の発生に対しては,早期のTUL による追加治療(尿路閉塞の解除)が推奨される。
推奨グレード
C1
いずれの場合においても,開放手術は完全に否定されないが,その適応は極めて限定的である。
解説
ESWL は一部のサンゴ状腎結石,膀胱結石を除くすべての結石の第1 選択治療となりえる1)。しかし,固さと大きさなどの関係で1 回の治療で破砕が終了しえない症例も少なくない。そこで,複数回の連続したESWL で完全排石を目指すことのできる場合と,他の治療法への切り替えが必要なケースとの見極めが重要である。
❖ 腎結石の場合
多くのシスチン結石やシュウ酸カルシウム一水和物(COM)を成分とする腎結石は,ESWLを複数回行っても十分に破砕されにくいことがある。過度の衝撃波治療による腎障害を回避することや,医療経済学的見地から,他の治療に切り替えることも選択されるべきである2)
初回のESWL 治療で,腎結石の1/3 程度近くが破砕されなければ,f-TUL を中心とした内視鏡手術に切り替えることが望ましい3,4)。特に大きな結石では,漫然とESWL 治療を繰り返すことは好ましくない。腎結石の長径が20 mm を超える場合などで上記のようにESWL 初回治療に抵抗する結石や,部分サンゴ状結石では,早期のPNL への切り替えやf-TUL とPNL の併用療法も検討すべきである5〜7)。患者の事情(通院治療を強く希望など)によっては,十分とまではいかないまでもある程度の破砕効果が得られていれば,複数回のESWL 単独治療も選択肢としては完全には否定されない。開放手術も選択肢の一つではあるが,その適応は極めて限定的である(サンゴ状結石についてはサンゴ状結石の治療方針CQ12 参照)。
❖ 尿管結石の場合
尿管結石については,部位により選択肢は異なる。
上部尿管結石
10 mm 以下の尿管結石であっても初回ESWL で破砕状況が不良の場合,次の治療としてはTUL が考慮されるべきである。
ESWL を第1 選択とした場合,初回ESWL で半分近くの結石が破砕片として排石された場合は,ESWL を繰り返し行うことも選択肢の一つである。しかし,初回ESWL により十分な破砕が得られないとき(まったく形状の変化がない場合,もしくは若干形状の変化があっても多くが排石しない場合)は,速やかにTUL に切り替えられるべきである8〜15)。特に陥頓結石の場合は,複数回のESWL 治療でも十分な破砕が得られない場合が少なくない。また,初回のESWLで破砕されているにもかかわらず,尿管と結石の間に発生した炎症性ポリープ様に尿管粘膜が変化し,破砕片がその場に押しとどめられている場合がある。このような状況下の結石に対しては,TUL は有効である16)
中部・下部尿管結石
初回治療としてTULを行わずESWLを第1選択として治療した場合,破砕不良の際は速やかにTUL を行うことが推奨される。中下部尿管結石に対して,破砕不良のために繰り返しのESWL 治療を行うことは,成功率の低さゆえ原則として推奨されない15〜21)
滞留する多量のstone street に対して
安易にESWLを繰り返さずに早期のTULによる追加治療(尿路閉塞の解除)が必要である21)。また,結石の破砕片による中等度以上の水腎症に対しても,同様の処置が必要となる場合がある。
開放手術について
いずれの結石においても開放手術は完全に排除されるべきではないが,その適応は極めて限られる。
参考文献
1) Srisubat A, Potisat S, Lojanapiwat B, et al. Extracorporeal shock wave lithotripsy(ESWL)versus percutaneous nephrolithotomy(PCNL)or retrograde intrarenal surgery(RIRS)for kidney stones. Cochrane Database Syst Rev. 2009;7:CD007044.
2) Gecit I, Kavak S, Oguz EK, et al. Tissue damage in kidney, adrenal glands and diaphragm following extracorporeal shock wave lithotripsy. Toxicol Ind Health. 2012 Oct 24[. Epub ahead of print].
3) Deem S, Defade B, Modak A, et al. Percutaneous nephrolithotomy versus extracorporeal shock wave lithotripsy for moderate sized kidney stones. Urology. 2011;78:739-43.
4) Boronat Tormo F, Pontones Moreno JL, Broseta Rico E, et al. Treatment of calcium kidney lithiasis. ESWL, NLP, open surgery. Arch Esp Urol. 2001;54:909-25.
5) Verze P, Imbimbo C, Cancelmo G, et al. Extracorporeal shockwave lithotripsy vs ureteroscopy as first-line therapy for patients with single, distal ureteric stones:a prospective randomized study. BJU Int. 2010;106:1748-52.
6) Conort P, Doré B, Saussine C. Guidelines for the urological management of renal and ureteric stones in adults. Prog Urol. 2004;14:1095-102.
7) 深津顕俊,上平 修,萩倉祥一,他.ESWL 時代のPNL の適応.Japanease Journal of Endourology and ESWL.2007;20:102-106.
8) Puppo P, Ricciotti G, Bozzo W, et al. Primary endoscopic treatment of ureteric calculi. A review of 378 cases. Eur Urol. 1999;36:48-52.
9) Eisner BH, Kurtz MP, Dretler SP. Ureteroscopy for the management of stone disease. Nat Rev Urol. 2010;7:40-5.
10) Petric A. Comparison of the efficacy of ESWL and ureteroscopy in the treatment of lower ureteric stone. Cas Lek Chesl. 2007;146:776-80.
11) El Nahas AR, Ibrahim HM, Youssef RF, et al. Flexible ureterorenoscopy versus extracorporeal shock wave lithotripsy for treatment of lower pole stones of 10-20 mm. BJU Int. 2012;110:898-902.
12) Küpeli B, Alkibay T, Sinik Z, et al. What is the optimal treatment for lower ureteral stones larger than 1 cm? Int J Urol. 2000;7:167-71.
13) Ebert AK, Schafhauser W. Combined flexible and semirigid ureteroscopy with laser lithotripsy. Alternative to percutaneous nephrolithotomy of complex EWSL refractory nephrolithiasis. Urologe A. 2008;47:994-9.
14) Breda A, Ogunyemi O, Leppert JT, et al. Flexible ureteroscopy and laser lithotripsy for multiple unilateral intrarenal stones. Eur Urol. 2009;55:1190-6.
15) Marchant F, Storme O, Osorio F, et al. Prospective trial comparing shock wave lithotripsy and ureteroscopy for management of distal ureteral calculi. Actas Urol Esp. 2009;33:869-72.
16) Mugiya S, Nagata M, Un-No T, et al. Endoscopic management of impacted ureteral stones using a small caliber ureteroscope and a laser lithotriptor. J Urol. 2000;164:329-31.
17) 宇野雅博,山田佳輝,増栄孝子,他.尿路結石症診療ガイドラインによる中・下部尿管結石の治 療の検討.泌尿器外科.2006;19:1216-64.
18) 石川 弥,丸 典夫,平井祥司,他.当院におけるTUL の治療成績.Japanease Journal of Endourology and ESWL.2010;23:116-21.
19) 瀬戸 親,上野 悟,長坂康弘.TUL の新たな適応基準策定について.Japanease Journal of Endourology and ESWL.2008;21:275-81.
20) 木村元彦,志村尚宣,笹川 亨.過去8 年間のTUL の臨床的検討.Japanease Journal of Endourology and ESWL.2011;24:124-30.
21) Kamihira O, Ono Y, Katoh N, et al. Treatment of stone street after extracorporeal shock wave lithotripsy of staghorn calculi. Nihon Hinyokika Gakkai Zasshi. 1995;86:1249-54.

 


 

CQサマリー

ページトップへ

ガイドライン解説

close-ico
カテゴリで探す
五十音で探す

診療ガイドライン検索

close-ico
カテゴリで探す
五十音で探す