尿路結石症診療ガイドライン 2013年版
2 診断・治療
サンゴ状結石の治療方針
サンゴ状結石は一つ以上の腎杯と腎盂とに連続する形態の結石とされる。結石が占めるcollectingsystem の割合によって,部分サンゴ状結石と完全サンゴ状結石とに分類されるが,厳密な区別はない。
サンゴ状結石を無治療で経過観察した場合,多くは腎機能低下や敗血症などを招くため1,2),積極的治療を行うことが望ましい3)。
1994 年のAUA ガイドライン4)では,サンゴ状結石に対してまずPNL を行い,残石に対してESWL を行うか再度PNL を行うことが推奨されている。2005 年のAUA によるサンゴ状結石の治療ガイドラインではESWL 単独,PNL 単独,ESWL/PNL 併用,開放手術を比較して,PNLを第1選択として行うことが推奨されている5)(図1)。
小さなサンゴ状結石ではESWL,f-TUL が選択肢となる。すなわち,条件a)に示すように,結石が比較的小さく,stone surface area(SSA)が500 mm2以下,水腎症がないかあっても軽度である症例6),CT 値が900 HU 以下でstone to skin distance(SSD)が9 cm 以下の症例では,ESWL を選択してもよい7)。SSA は一般にはKUB 画像で計測する。以前はプラニメータで計測していたが,最近ではデジタルX 線画像診断システムで容易に計測できるようになっている(図2)。また条件b)に示すように,サンゴ状結石の割合は不明だが,f-TUL の熟練者では20 mm以上の腎結石において,30 mm 以下のものではPNL と遜色ない治療効果が得られるとの報告があり8),f-TUL も選択肢となる。また,f-TUL が有効な結石を25 mm 以下とする報告もある9,10)。
結石が極めて大きくSSA が2,500 mm2以上か,水腎症が高度のものではPNL 主体の治療でも治療効果がよくないので,馬蹄腎や移植腎など解剖学的異常腎とともに開放手術が選択肢となる5,6,11)。熟練した術者では腹腔鏡下手術を検討してもよい12)。
結石容量の大きなサンゴ状結石では,多数の腎杯に結石が存在することより複数トラクトでの治療を行うと治療成績が向上するが,出血量が多くなる可能性がある13,14)。
PNL を行う場合は術前の画像診断を基に,最も砕石効率が高くなると予想される腎杯でのトラクト作成を計画するとよい。
サンゴ状結石を無治療で経過観察した場合,多くは腎機能低下や敗血症などを招くため1,2),積極的治療を行うことが望ましい3)。
1994 年のAUA ガイドライン4)では,サンゴ状結石に対してまずPNL を行い,残石に対してESWL を行うか再度PNL を行うことが推奨されている。2005 年のAUA によるサンゴ状結石の治療ガイドラインではESWL 単独,PNL 単独,ESWL/PNL 併用,開放手術を比較して,PNLを第1選択として行うことが推奨されている5)(図1)。
小さなサンゴ状結石ではESWL,f-TUL が選択肢となる。すなわち,条件a)に示すように,結石が比較的小さく,stone surface area(SSA)が500 mm2以下,水腎症がないかあっても軽度である症例6),CT 値が900 HU 以下でstone to skin distance(SSD)が9 cm 以下の症例では,ESWL を選択してもよい7)。SSA は一般にはKUB 画像で計測する。以前はプラニメータで計測していたが,最近ではデジタルX 線画像診断システムで容易に計測できるようになっている(図2)。また条件b)に示すように,サンゴ状結石の割合は不明だが,f-TUL の熟練者では20 mm以上の腎結石において,30 mm 以下のものではPNL と遜色ない治療効果が得られるとの報告があり8),f-TUL も選択肢となる。また,f-TUL が有効な結石を25 mm 以下とする報告もある9,10)。
結石が極めて大きくSSA が2,500 mm2以上か,水腎症が高度のものではPNL 主体の治療でも治療効果がよくないので,馬蹄腎や移植腎など解剖学的異常腎とともに開放手術が選択肢となる5,6,11)。熟練した術者では腹腔鏡下手術を検討してもよい12)。
結石容量の大きなサンゴ状結石では,多数の腎杯に結石が存在することより複数トラクトでの治療を行うと治療成績が向上するが,出血量が多くなる可能性がある13,14)。
PNL を行う場合は術前の画像診断を基に,最も砕石効率が高くなると予想される腎杯でのトラクト作成を計画するとよい。


参考文献 |
1) | Rous SN, Turner WR. Retrospective study of 95 patients with staghorn calculus disease. J Urol. 1977;118:902. |
2) | Koga S, Arakaki Y, Matsuoka M, et al. Staghorn calculi--long-term results of management. Br J Urol. 1991;68:122. |
3) | 日本泌尿器科学会,日本Endourology・ESWL 学会,日本尿路結石症学会編.尿路結石症診療ガ イドライン.2002. |
4) | Segura JW, Preminger GM, Assimos DG, et al. Nephrolithiasis clinical guidelines panel summary report on the management of staghorn calculi. J Urol. 1994;151:1648-51. |
5) | Preminger GM, Assimos DG, Lingeman JE, et al. AUA Guideline on management of staghorn calculi:Diagnosis and treatment recommendations. J Urol. 2005;175:1991-2000. |
6) | Lam HS, Lingeman JE, Barron M, et al. Staghorn calculi:analysis of treatment results between initial percutaneous nephrostolithotomy and extracorporeal shock wave lithotripsy monotherapy with reference to surface area. J Urol. 1992 147:1219. |
7) | Perks AE, Schuler TD, Lee J, et al. Stone attenuation and skin-to-stone distance on computed tomography predicts for stone fragmentation by shock wave lithotripsy. Urology. 2008 Oct;72 (4):765-9. |
8) | Aboumarzouk OM, et al. Flexible Ureterosopy and Laser Lithotripsy for Stones>2 cm:A Systemic Review and Meta-Analysis. J Endourol. 2012;26:1257-63. |
9) | 松崎純一,寺尾秀行,川原崇司,他.10〜30 mm の腎結石に対するPNL の治療成績(TUL と比 較して).泌尿器外科.2012;25:1075-7. |
10) | 加藤祐司,岡田真介,工藤大輔,他.腎結石に対するf-TUL の適応を考える.泌尿器外科.2012; 25:1073-4. |
11) | Assimos DG, Wrenn JJ, Harrison LH, et al. A comparison of anatrophic nephrolithotomy and percutaneous nephrolithotomy with and without extracorporeal shock wave lithotripsy for management of patients with staghorn calculi. J Urol. 1991;145:710. |
12) | Al-Hunayan A, Khalil M, Hassabo M, et al. Management of solitary renal pelvic stone:laparoscopic retroperitoneal pyelolithotomy versus percutaneous nephrolithotomy. J Endourol. 2011; 25(6):975-8. |
13) | Turna B, Nazi O, Demiryoguran S, et al. Percutaneous nephrolithotomy:variables than influence hemorrhage. Urology. 2007;69:603-7. |
14) | Akman T, Sari E, Binbay M, et al. Comparison of outcomes after percutaneous nephrolithotomy of staghorn calculi in those with single and multiple accesses. J Endourol. 2010;24:955-60. |