尿路結石症診療ガイドライン 2013年版
改訂にあたって
『尿路結石症診療ガイドライン』の改訂にあたり本ガイドライン改訂の概要を述べさせていただきます。2002 年に刊行された『尿路結石症診療ガイドライン』は日本泌尿器科学会,日本Endourology・ESWL 学会(現 日本泌尿器内視鏡学会),日本尿路結石症学会3 学会公認の診療ガイドラインとして2002 年12 月に出版されました。
この診療ガイドラインは,守殿貞夫元日本尿路結石症学会理事長のリーダーシップによって作成が始まった,日本泌尿器科学会としては最初の公認診療ガイドラインでした。先行して刊行されていたReport on the Management of Staghorn Calculi(American Urological Association:AUA,1994),The Management of Ureteral Calculi(AUA,1997),Guidelines on Urolithiasis(European Association of Urology:EUA,2000)を参考に,それらの出版以降2000年12 月までの452 論文を総括して,AUA ガイドラインに含まれていない分野をカバーし,かつ研究的側面が強かったEAU ガイドラインに比して,より臨床的な我が国独自の診療ガイドラインでした。
しかし,その後AUA,EAU が頻繁に改訂版やガイドラインのレヴューと妥当性の検討,白書など刊行していること,また,画像検査やf-TUL など治療法の進歩や2005 年全国疫学調査に基づく評価,Medical expulsive therapy(MET)の概念確立などがあり我が国においても改訂版ガイドラインを早急に作成する必要性に迫られてきました。そして日本泌尿器科学会の指示により2006 年10 月に改訂に向けた委員会を発足させました。
今回の改訂ではクリニカルクエスチョン(CQ)形式に変更して,旧版同様日本泌尿器科学会,日本泌尿器内視鏡学会(旧 日本Endourology・ESWL 学会),日本尿路結石症学会3 学会が協力して作成することとしました。全体構造の構成について樋之津史郎先生に参加していただき,疫学,診断・治療,再発予防の領域に分け執筆作業を行うことになりました。総論とCQ 抽出にあたり,領域委員長を疫学:井口正典先生,診断・治療:荒川孝先生,再発予防:戸澤啓一先生に依頼いたしました。そして疫学では海外のデータに加え2005 年全国疫学調査を反映していただきました。また,診断・治療はAUA,EAU ガイドラインとの整合性を考慮しつつ,我が国での医療事情や保険適用などにも配慮していただきました。さらに再発予防では疫学と基礎研究データに基づいた,より実臨床に役立つ内容としていただきました。
各領域での専門家からなる32 名の委員に依頼し,文献検索には鈴木孝明先生(奈良県立医科大学),河合富士美先生(NPO 法人日本医学図書館協会診療ガイドラインワーキンググループ)のご協力をいただきました。日進月歩進歩する膨大な医学情報に振り回されながらも文献調査,集計,修正などの行程を積み重ね各委員の献身的な努力でようやく発刊できるようになりました。
EAU ガイドラインは2008 年以降毎年アップデートされており,我が国でも少なくとも数年ごとに改訂すべきですが,このように10 年以上も経過して改訂版発刊にたどり着いたことを,深く反省しております。今回のガイドラインの作成では,構造化文献抄録を別途作成して文献検索方法を後日使用できるように配慮しておりますので,以後の改訂版では迅速に対応できると確信しております。
多大な労力を惜しみなく傾注していただきました各領域委員長はじめ,各委員の方々に改めて感謝を申し上げます。
このガイドラインは,診療の最前線で日夜,尿路結石症を診断・治療されておられる先生方や医療関係者に,最新の情報をお届けするものです。臨床現場で大いに活用していただくことを期待しております。また,ご意見,ご批判もいただき,皆様のお力によって今後の改訂に際してもより良いガイドラインに育つことを願っております。
2013 年9 月
この診療ガイドラインは,守殿貞夫元日本尿路結石症学会理事長のリーダーシップによって作成が始まった,日本泌尿器科学会としては最初の公認診療ガイドラインでした。先行して刊行されていたReport on the Management of Staghorn Calculi(American Urological Association:AUA,1994),The Management of Ureteral Calculi(AUA,1997),Guidelines on Urolithiasis(European Association of Urology:EUA,2000)を参考に,それらの出版以降2000年12 月までの452 論文を総括して,AUA ガイドラインに含まれていない分野をカバーし,かつ研究的側面が強かったEAU ガイドラインに比して,より臨床的な我が国独自の診療ガイドラインでした。
しかし,その後AUA,EAU が頻繁に改訂版やガイドラインのレヴューと妥当性の検討,白書など刊行していること,また,画像検査やf-TUL など治療法の進歩や2005 年全国疫学調査に基づく評価,Medical expulsive therapy(MET)の概念確立などがあり我が国においても改訂版ガイドラインを早急に作成する必要性に迫られてきました。そして日本泌尿器科学会の指示により2006 年10 月に改訂に向けた委員会を発足させました。
今回の改訂ではクリニカルクエスチョン(CQ)形式に変更して,旧版同様日本泌尿器科学会,日本泌尿器内視鏡学会(旧 日本Endourology・ESWL 学会),日本尿路結石症学会3 学会が協力して作成することとしました。全体構造の構成について樋之津史郎先生に参加していただき,疫学,診断・治療,再発予防の領域に分け執筆作業を行うことになりました。総論とCQ 抽出にあたり,領域委員長を疫学:井口正典先生,診断・治療:荒川孝先生,再発予防:戸澤啓一先生に依頼いたしました。そして疫学では海外のデータに加え2005 年全国疫学調査を反映していただきました。また,診断・治療はAUA,EAU ガイドラインとの整合性を考慮しつつ,我が国での医療事情や保険適用などにも配慮していただきました。さらに再発予防では疫学と基礎研究データに基づいた,より実臨床に役立つ内容としていただきました。
各領域での専門家からなる32 名の委員に依頼し,文献検索には鈴木孝明先生(奈良県立医科大学),河合富士美先生(NPO 法人日本医学図書館協会診療ガイドラインワーキンググループ)のご協力をいただきました。日進月歩進歩する膨大な医学情報に振り回されながらも文献調査,集計,修正などの行程を積み重ね各委員の献身的な努力でようやく発刊できるようになりました。
EAU ガイドラインは2008 年以降毎年アップデートされており,我が国でも少なくとも数年ごとに改訂すべきですが,このように10 年以上も経過して改訂版発刊にたどり着いたことを,深く反省しております。今回のガイドラインの作成では,構造化文献抄録を別途作成して文献検索方法を後日使用できるように配慮しておりますので,以後の改訂版では迅速に対応できると確信しております。
多大な労力を惜しみなく傾注していただきました各領域委員長はじめ,各委員の方々に改めて感謝を申し上げます。
このガイドラインは,診療の最前線で日夜,尿路結石症を診断・治療されておられる先生方や医療関係者に,最新の情報をお届けするものです。臨床現場で大いに活用していただくことを期待しております。また,ご意見,ご批判もいただき,皆様のお力によって今後の改訂に際してもより良いガイドラインに育つことを願っております。
2013 年9 月
尿路結石症診療ガイドライン改訂委員長
鈴木孝治