(旧版)科学的根拠(Evidence Based Medicine;EBM)に基づいた腰痛診療のガイドラインの策定に関する研究
第6章 慢性腰痛症の治療法として運動療法は有効か
考察
慢性腰痛症に対する運動療法の効果を検討した研究でRandomized control studyが行われた報告では、効果を認めた報告が多かった。 しかし、治療法としての運動療法の内容が研究によりさまざまであり、対照となる治療法も報告ごとに異なっている。 また、効果を判定するためのアウトカム指標もさまざまであった。 このため、メタ分析によって結論を出すことは施行不可能と判断した。
報告全体を俯瞰し、運動療法は慢性腰痛症に対して、効果をもたらすものと判断できる。 しかし、それは必ずしも疼痛そのものに対する有効性を意味するものではなく、日常生活動作に対する改善の場合もあり、また、疼痛による休業状態からの職場復帰を意味する場合もある。 従って、治療効果は幅広いスペクトラムで判断しないとならない。