(旧版)科学的根拠(Evidence Based Medicine;EBM)に基づいた腰痛診療のガイドラインの策定に関する研究
第4章 腰痛の薬物療法に関するエビデンス
結果
調査し得た薬剤を表1に示す。薬剤の種類は38種であった。 この内、31種(82%)に対象となる文献を見いだした。 当初内容を検討した論文は78編であり、このうち選定した論文は39編である。 発表年代別では、1971年〜1980年19編 (49%)、1981年〜1990年15編 (38%)、1991年〜2000年5編 (13%)であった。 エビデンスレベル分類では「II 1つ以上のランダム化比較試験によるもの」が37編 (95%)、「III 非ランダム化比較試験によるもの」が2編 (5%)であった1,17)。 すなわち、多くの論文で対照薬を選定し、二重盲検法による評価を行っていた。対照薬とされた薬剤はインドメタシン、イブプロフェン、ジクロフェナクナトリウムが多数をしめた。 その他、プラセボを使用した研究が4編みられた3,24,34,38)。 表2に各薬剤の二重盲検試験の対照薬を示す。 今回の検討の結果、勧告の強さは全ての薬剤が「B 行うよう勧められる」と判定されたが、対照薬の種類により、「B」のなかでも勧告の強さには相違がみられた。
表1. 我が国において腰痛症に使用される主な内服薬 ( )内は文献番号
[ 一般名 ] | [ 商品名 ] | |
【 酸性 】 | ||
サリチル酸系 | アスピリン | |
フェナム酸系 | トルフェナム酸5) | クロタム |
フロクタフェニン7) | イダロン | |
フルフェナム酸アルミニウム3) | オパイリン | |
メフェナム酸1) | ポンタール | |
アリール酢酸系 | エトドラク25) | ハイペン、オステラック |
モフェゾラク9) | ジソペイン | |
フェンブフェン19,38) | ナパノール | |
スリンダク22) | クリノリル | |
インドメタシンファルネシル26) | インフリー | |
インドメタシン | インダシン、インテバンSP | |
マレイン酸プログルメタシン20) | ミリダシン | |
アンフェナクナトリウム2) | フェナゾックス | |
ジクロフェナクナトリウム | ボルタレン | |
アセメタシン | ランツジール | |
ナブメトン8) | レリフェン | |
プロピオン酸系 | イブプロフェン | ブルフェン |
ケトプロフェン21,28,39) | メナミン、カピステン、オルジス、アネオール | |
ナプロキセン14,29) | ナイキサン | |
プラノプロフェン4,33,35) | ニフラン | |
フェノプロフェン18) | フェノプロン | |
カルシウム | ||
チアプロフェン酸23) | スルガム | |
オキサプロジン37) | アルボ | |
ロキソプロフェンナトリウム13) | ロキソニン | |
アルミノプロフェン32) | ミナルフェン | |
ザルトプロフェン10) | ペオン、ソレトン | |
フルルビプロフェン | フロベン | |
オキシカム系 | ピロキシカム6) | フェルデン、バキソ |
アンピロキシカム17) | フルカム | |
テノキシカム16) | チルコチル | |
ロルノキシカム27) | ロルカム | |
メロキシカム30) | モービック | |
【 塩基性 】 | 塩酸チアラミド34) | ソランタール |
エピリゾール | メブロン、アナロック | |
エモルファゾン15) | ペントイル | |
【 筋弛緩剤 】 | 塩酸エピリゾン36) | ミオナール |
カルバミン酸クロルフェネシン11,12,31) | リンラキサー | |
【 その他 】 | ワクシニアウイルス | ノイロトロピン |
接種家兎炎症皮膚抽出液24) |
表2. 各薬剤の二重盲検試験における対照薬 ( )内は文献番号
[ 評価された薬剤 ] | [ 対照薬 ] | |
【 酸性 】 | ||
フェナム酸系 | トルフェナム酸5) | インドメタシ |
フロクタフェニン7) | インドメタシン | |
フルフェナム酸アルミニウム3) | プラセボ | |
アリール酢酸系 | エトドラク25) | ジクロフェナク、ナトリウム |
モフェゾラク9) | インドメタシン | |
フェンブフェン19,38) | ジクロフェナク、ナトリウム | |
スリンダク22) | イブプロフェン | |
インドメタシン | ジクロフェナク | |
ファルネシル26) | ナトリウム | |
マレイン酸プログルメタシン20) | インドメタシン | |
アンフェナクナトリウム2) | インドメタシン | |
ナブメトン8) | ナプロキセン | |
プロピオン酸系 | イブプロフェン | |
ケトプロフェン21,28,39) | メピリゾール、インドメタシン、インドメタシン | |
ナプロキセン14,29) | メピリゾール、インドメタシ | |
プラノプロフェン4,33,35) | フルフェナム酸、アルミニウム、アスピリン、アルクロフェナク | |
フェノプロフェン18) | イブプロフェン | |
カルシウム | ||
チアプロフェン酸23) | イブプロフェン | |
オキサプロジン37) | イブプロフェン | |
ロキソプロフェンナトリウム13) | イブプロフェン | |
アルミノプロフェン32) | インドメタシン | |
ザルトプロフェン10) | インドメタシン | |
オキシカム系 | ピロキシカム6) | インドメタシン |
テノキシカム16) | ジクロフェナク、ナトリウム | |
ロルノキシカム27) | ジクロフェナク、ナトリウム | |
メロキシカム30) | インドメタシン | |
【 塩基性 】 | 塩酸チアラミド34) | プラセボ |
エモルファゾン15) | イブプロフェン | |
【 筋弛緩剤 】 | 塩酸エピリゾン36) | 塩酸トリペリゾン |
カルバミン酸クロルフェネシン11,12,31) | メトカルバモール、フェンプロバメート、塩酸トリペリゾン | |
【 その他 】 | ワクシニアウイルス | プラセボ |
接種家兎炎症皮膚抽出液24) |