(旧版)科学的根拠に基づく急性胆管炎・胆嚢炎の診療ガイドライン
第XIV章 急性胆管炎・胆嚢炎の診療ガイドラインのフィードバックの経過
4. 第41回日本腹部救急医学会総会(2005.3.10〜11,名古屋市)
10)年齢と手術時期,術式
併存疾患のない40歳台の女性の有石急性胆嚢炎に対しては,「数日以内の手術」を約半数が選択し,「ドレナージ後の待機的根治手術」,「24時間以内の緊急手術」の順であった(表3-1)。
80歳台の女性では,同じ疾患でも,「ドレナージ後の待機的根治手術」を56%の医師が選択し,「数日以内の手術」,「24時間以内の緊急手術」が少なくなっていた。
一方,胆嚢周囲膿瘍を合併した同様の状態で,40歳台の女性に場合には,半数以上が「24時間以内の緊急手術」を選択し,「ドレナージ後の手術」を選択する場合もあったが,緊急処置を要すると考え,「数日以内の手術」を選択する場合は少なかった(表3-2)。
80歳台の場合には,逆に「ドレナージ後の手術」を選択する場合が過半数を占め,「24時間以内の緊急手術」を選択する場合は37%であった。
また,40歳台の胆嚢周囲膿瘍を合併した有石急性胆嚢炎での手術に際し,「開腹手術」を選択する場合が46%を占めたが,このような状況でも「腹腔鏡下手術」を選択する場合も36%あった(表3-3)。
表3-1 併存疾患のない有石急性胆嚢炎での治療
40歳台 | 80歳台 | |
24時間以内の緊急手術 | 28(21%) | 17(13%) |
数日以内の手術 | 65(48%) | 28(22%) |
ドレナージ後,手術 | 38(28%) | 72(56%) |
ドレナージ後,手術は行わない | 0(0%) | 9(7%) |
その他 | 4(3%) | 3(2%) |
表3-2 胆嚢周囲膿瘍を合併した有石急性胆嚢炎での治療
40歳台 | 80歳台 | |
24時間以内の緊急手術 | 72(54%) | 52(37%) |
数日以内の手術 | 17(13%) | 1(1%) |
ドレナージ後,手術 | 43(32%) | 78(56%) |
ドレナージ後,手術は行わない | 0(0%) | 7(5%) |
その他 | 2(1%) | 1(1%) |
表3-3 40歳台で既存併存疾患のない,胆嚢周囲膿瘍を合併した有石急性胆嚢炎での手術
腹腔鏡下手術 | 45(36%) | |
いずれも定めない | 23(18%) | |
開腹手術 | 58(46%) |