(旧版)科学的根拠に基づく急性胆管炎・胆嚢炎の診療ガイドライン

 
 
第XIII章 特殊な胆道炎


5. 膵胆道悪性腫瘍に伴う急性胆道炎
1)急性胆管炎
Q122. 膵胆道悪性腫瘍に伴う急性胆管炎におけるドレナージ法の選択は?

肝門部またはその上流での閉塞:経皮経肝的胆管ドレナージ(推奨度B)

肝門部閉塞や胆管閉塞がその上流に及んでいる症例には,内視鏡的ドレナージでは上流側癌浸潤の診断能の低下やドレナージ効果不良区域における胆管炎を誘発する危険性があり,原則として経皮経肝的胆管ドレナージを第一選択とすべきである(レベル4〜5)1,2)。しかし,内視鏡的ドレナージと比較検討したRCTはなく,あくまで経験的なものである。

中下部胆管閉塞:内視鏡的ドレナージと経皮経肝的ドレナージのいずれを選択するかは個々の症例や施設で考慮する。(推奨度B)

中下部胆管閉塞の症例でも,内視鏡的ドレナージ(ENBD,胆管チューブステント留置)と経皮経肝的ドレナージの優劣を比較した報告はみられないが,内視鏡的ドレナージを得意とする施設では,ESTを付加しないENBDを第一選択とし,ENBD施行不能例では経皮経肝的ドレナージを選択するという方針をとっている(レベル4)3,4)。 ただし,内視鏡的ドレナージがなされた場合には,ドレナージの時点で明瞭な胆道造影を得ることは困難である場合が多いため,できれば経皮経肝的胆管ドレナージが望ましい。
中下部胆管閉塞の症例に対する胆管ステント(素材は不明)留置例では,膵頭十二指腸切除術後,全体のmorbidityやmortalityは,非留置例と差がないが,膵液漏や創感染の頻度が有意に高くなると報告されている(レベル4)5)。 なお胆道癌に対する経皮経肝的胆管ドレナージでは術後瘻孔部のimplantationが報告されている(レベル4)6)
経皮経肝的ドレナージ後のimplantationでは,悪性疾患に対する経皮経肝的ドレナージ施行487例中14例(2.9%)にimplantationによる再発が認められている(レベル4)7)。 胆管癌の経皮経肝的ドレナージ瘻孔部再発に対する予防的腔内照射の報告では,腔内照射未施行の25例中5例で2〜14ヶ月後に瘻孔部再発を認めているが,腔内照射施行17例では瘻孔部再発を認めていない(レベル4)8)。 また,胆管ステント留置例では,implantation再発の予防に術前低用量照射が有効であるともされている(レベル4)9)

 

 
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