(旧版)科学的根拠に基づく急性胆管炎・胆嚢炎の診療ガイドライン
第XIII章 特殊な胆道炎
2. 高齢者の胆道炎
Q113. 高齢者の急性胆嚢炎に対する手術術式は?
高齢者の急性胆嚢炎に対する胆嚢摘出術(推奨度B)
できれば腹腔鏡下胆嚢摘出術が望ましい(推奨度B)
できれば腹腔鏡下胆嚢摘出術が望ましい(推奨度B)
腹腔鏡下胆嚢摘出術が導入され普及するにつれて,腹腔鏡下胆嚢摘出術の優位性が報告されるようになってきつつある。 75歳以上の急性胆嚢炎患者に対する腹腔鏡下手術は,開腹手術と比較して手術時間が短縮し,入院期間やリハビリテーションが必要な患者が有意に低下し,死亡率も低い(レベル3b)17),腹腔鏡下手術は開腹手術と同等の死亡率(レベル4)18),開腹胆嚢摘出術は腹腔鏡下胆嚢摘出術に比べて合併症率が約7倍であり,高齢者やアメリカ麻酔学会(ASA)classが高いハイリスク患者に対しては腹腔鏡下胆嚢摘出術を行うべき(レベル3b)19),75歳以上の腹腔鏡下胆嚢摘出術は合併症率を低下し入院期間を短縮し医療コストを低下させている(レベル3b)20)。 その一方で,80歳以上の高齢者の胆嚢炎に対する腹腔鏡下手術は開腹への移行症例が多く,入院期間も変わりなく,腹腔鏡下手術のbenefitはあまりないとされている(レベル3b)21)。 待機手術としての合併症を有さない胆嚢摘出術には腹腔鏡下が望ましいが,65歳以上の症例は合併症が多いため,開腹への早期移行や開腹胆嚢摘出術を行うべきとの意見もある(レベル3b)22)。