(旧版)科学的根拠に基づく急性胆管炎・胆嚢炎の診療ガイドライン
第XII章 急性胆嚢炎 -手術法の選択とタイミング-
Q104. PTGBD・PTGBAを行った場合の適切な手術時期はいつか?
手術時期については根拠が明確な報告はないが,早期の手術が望ましい。(推奨度B)
急性胆嚢炎の外科的治療における経皮経肝胆嚢ドレナージ(PTGBD : percutaneous transhepatic gallbladder drainage)の併用については無作為化比較対照試験(RCT)レベルの報告はない。 しかし,PTGBDは,胆嚢摘出術が困難と考えられた炎症が進行した胆嚢炎に対して炎症を鎮静化させる効果は高いことが知られている(レベル5)16)。 では,PTGBD後のどの時期に腹腔鏡下胆嚢摘出術を行うかについての報告は少ないが,PTGBD施行後数日で手術を行っているとの報告17,18,19)(レベル3b〜5)17,18,19) を認める。 一方,PTGBDには肝内血腫やカテーテルの逸脱による種々の合併症(胆嚢周囲膿瘍,胆汁性胸水,胆汁性腹膜炎など(レベル3b〜5)16,20) の特有の合併症発生があり,注意すべき問題点がある。 一方,経皮経肝胆嚢吸引穿刺法(PTGBA : percutaneous transhepatic gallbladder aspiration)に関しては,その有効性を認めるとの報告(レベル4〜5)21,22) があるものの,PTGBDと同様に今後の課題として症例を集積し検討する必要がある。