(旧版)科学的根拠に基づく急性胆管炎・胆嚢炎の診療ガイドライン
第X章 急性胆嚢炎 -基本的治療-
1. 基本的治療方針と初期治療
Q84. 急性胆嚢炎における基本的治療方針は?
急性胆嚢炎の診療指針(「第IX章/1./3)急性胆嚢炎の診療指針」参照)
(1) | 急性胆嚢炎では,原則として胆嚢摘出術(腹腔鏡下の胆嚢摘出術が多く行われている)を前提とした初期治療(全身状態の改善)を行う。 |
(2) | 黄疸例や,全身状態の不良な症例では,一時的な胆嚢ドレナージも考慮する。 |
(3) | 重篤な局所合併症(胆汁性腹膜炎,胆嚢周囲膿瘍,肝膿瘍)を伴った症例,あるいは,胆嚢捻転症,気腫性胆嚢炎,壊疽性胆嚢炎,化膿性胆嚢炎では,全身状態の管理を十分にしつつ緊急手術を行う。 |
(4) | 中等症では初期治療とともに迅速に手術(腹腔鏡下胆嚢摘出術が望ましい)や胆嚢ドレナージの適応を検討する。 |
(5) | 軽症でも初期治療に反応しない例では手術(腹腔鏡下胆嚢摘出術が望ましい)や胆嚢ドレナージの適応を検討する。 |
急性期に胆嚢摘出術を行わなかった症例でも胆嚢結石合併例では,再発防止のために炎症消退後に胆嚢摘出術を行うことが望ましい。 | |
注:「無石胆嚢炎」「併存疾患がある場合」「急性胆管炎を合併した場合」「高齢者」「小児」では重症化しやすい,あるいは病態が特殊であるため,軽症であっても慎重に対応する必要がある。 |