(旧版)科学的根拠に基づく急性胆管炎・胆嚢炎の診療ガイドライン

 
 
第IX章 急性胆管炎 -診断基準と重症度判定-


4. 画像診断
3)MRI(magnetic resonance imaging)
Q77. 急性胆嚢炎におけるMRIの意義は?

MRIでは,胆嚢頸部結石,胆嚢管結石の描出率が良好であり,T2強調画像における pericholecystic high signalが,急性胆嚢炎の診断に有用である。(推奨度B)

MRIは,濃度分解能が高く,胆嚢の腫大や壁肥厚,胆嚢周囲の炎症性変化の描出が可能で,急性胆嚢炎の存在診断に有用である(表8)(レベル2b)51,52)。 急性胆嚢炎ではMRI上,胆嚢腫大,壁肥厚,胆嚢周囲の炎症性変化が生じる。特にT2強調画像でのpericholecystic high signalは急性胆嚢炎の診断に有用である(レベル2b)52)。Pericholecystic high signalは,胆嚢周囲液体貯留像や浮腫像に相当する。 ただし,肝硬変等で腹水が存在するような場合,pericholecystic high signalと同様な所見を呈するので注意を要する(レベル2b)52)。MRCPでは,胆嚢頸部結石,胆嚢管結石の描出率が,体外式超音波検査よりも良好である(レベル1b)28)。 また,X線被爆がないなどの利点を有するが,CTに比較して検査時間がかかること,緊急検査体制が整備されていないこと,ペースメーカー装着者では施行できない,等の問題がある。

表8 MRIの急性胆嚢炎に対する診断成績
報告者  Sensitivity   Specificity 
 Hakansson(2000)51) 88% 89%
 Regan(1998)51) 91% 79%


写真9 胆嚢炎のMRI像
a. T2強調像における pericholecystic high signal(A)
b. MRCP像における pericholecystic high signal(矢印)
GB:胆嚢,B:胆嚢結石  


 

 
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