(旧版)科学的根拠に基づく急性胆管炎・胆嚢炎の診療ガイドライン
第IX章 急性胆管炎 -診断基準と重症度判定-
1. 診断基準と重症度判定基準
症 例
症 例:壊疽性胆嚢炎
51歳,女性 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||
主 訴 | : | 右季肋部痛 | ||||||||||||||||||||||||||||||||
既往歴 | : | 5年前に胃癌で手術(胃全摘術)を受けた。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||
現病歴 | : | 一昨日より右悸肋部痛が出現し,徐々に痛みが増強してきたため,来院した。発熱は認めなかった。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||
理学所見 | : | 右悸肋部に圧痛を認め,胆嚢を腫瘤状に触知した。Murphy signを認めた。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||
血液検査成績 | : |
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入院時超音波検査所見 | : | 胆嚢は著明に腫大し,内部には胆泥の貯留を認めた。胆嚢壁の肥厚や胆嚢周囲の液体貯留像は認めなかったため,この時点では軽症の急性胆嚢炎と診断した。Sonographic Murphy signが陽性であった。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||
入院後の経過 | : | 初期治療(輸液,抗菌薬投与)を開始した。翌日になっても右悸肋部痛は改善しなかったため,CTを撮影した。 胆嚢の腫大,胆嚢壁の高度肥厚,胆嚢壁の不整像(intraluminal flap像),胆嚢周囲液体貯留像を認めたため,中等症の急性胆嚢炎と診断した(写真5a,5b)。 入院2日目に胆嚢摘出術(開腹)を施行した。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||
手術所見 | : | 胆嚢壁の壊死像を認め,壊疽性胆嚢炎の所見であった(写真5c)。結果的には重症の急性胆嚢炎であった。 |
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写真5a CT検査:胆嚢壁intraluminal flap像(矢印)を認めた。 |
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写真5b CT検査:胆嚢壁の高度肥厚(A),および胆嚢周囲の液体貯留像(B)を認めた。 |
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写真5c 手術所見:胆嚢壁の壊死像を認めた。 |