(旧版)科学的根拠に基づく急性胆管炎・胆嚢炎の診療ガイドライン
第VII章 急性胆管炎 -根本的治療- 胆管ドレナージ法の選択とタイミング
急性胆管炎では診断がつき次第,初期治療を開始するとともに重症度評価を行い重症度に応じた治療を行うことが原則となる(「第IV章/Q43.急性胆管炎における基本的治療方針は?」参照)。 血圧低下や意識障害を伴うような重症急性胆管炎では緊急的な胆管ドレナージが必須である。また,中等症〜軽症胆管炎であっても,抗菌薬投与などによる保存的治療が奏効せず状態に改善が認められなければ,可及的速やかに胆管ドレナージを行うべきである。 特に高齢者では,発症後容易に重症化するため,胆管非拡張例でも積極的に胆管ドレナージを行うことが肝要である(レベル4)1)。
厳密なRCTによる検討はないが,多くの報告から(レベル4)2,3,4) 保存的治療のみでは急性胆管炎の多くを救命できないのは明らかである(表1)。 胆管ドレナージは,急性胆管炎の原因である胆汁うっ滞を解除する根本的な方法であり,本疾患治療の核となるものである。
表1 急性胆管炎に対する保存的治療時の致死率
報告者 | 保存的治療の致死率 |
O'Connor MJ2) | 87% |
Welch JP3) | 100% |
本邦集計(1980)4) | 83% |