(旧版)科学的根拠に基づく急性胆管炎・胆嚢炎の診療ガイドライン
第VI章 急性胆管炎 -基本的治療-
2. 細菌学的検索と抗菌薬
Q53. 胆管胆汁移行性のよい抗菌薬は?
胆管炎の治療には抗菌薬が胆管胆汁中に移行することが重要であり,胆汁移行性にすぐれた抗菌薬を選択する。 胆汁移行の良好な抗菌薬としては下記のような抗菌薬があげられる(表3)。 なお,イミペネム・シラスタチン(チエナム®)は,他剤と比較すると胆管胆汁への移行はさほど良好ではないが,抗菌力に優れた薬剤であり起炎菌に対するMICが小さいため,常用量の投与で胆汁中濃度はMICを上回り,治療上十分な胆汁移行性を示すと考えられる40)。
表3 胆管胆汁移行性の良好な静注抗菌薬
ペニシリン系薬 | ピペラシリン(ペントシリン®)41),アスポキシシリン(ドイル®)42),タゾバクタム/ピペラシリン(タゾシン®)43),アンピシリン(ビクシリン) |
セフェム系薬 | |
(第一世代) | セファゾリン(セファメジン®)44) |
(第二世代) | セフメタゾール(セフメタゾン®)45),セフォチアム(パンスポリン®)46),フロモキセフ(フルマリン®)47) |
(第三,四世代) | セフォペラゾン:スルバクタム(スルペラゾン®)48),セフトリアキソン(ロセフィン®)49),セフォペラゾン(セフォペラジン®)48),セフピロム(ブロアクト®)50),セフタジジム(モダシン®)51),セフォゾプラン(ファーストシン®)52) |
ニューキノロン系薬 | シプロフロキサシン(シプロキサン®)48),パズフロキサシン(パシル®)53) |
モノバクタム系薬 | アズトレオナム(アザクタム®)54) |
カルバペネム系薬 | メロペネム(メロペン®)55),イミペネム・シラスタチン(チェナム®)40),ビアペネム(オメガシン®) |
リンコマイシン系薬 | クリンダマイシン(ダラシン-S®)56) |
注:本邦で販売されている代表的な商品名も記載した。 |