(旧版)科学的根拠に基づく急性胆管炎・胆嚢炎の診療ガイドライン
第VI章 急性胆管炎 -基本的治療-
1. 基本的治療方針と初期治療
Q43. 急性胆管炎における基本的診療方針は?
急性胆管炎の診療指針
急性胆管炎を疑った場合には診断基準を用いて診断し,さらに重症度判定を行い,重症度に応じた治療を行う。頻回に再評価を行う。
急性胆管炎では,原則として,胆道ドレナージ術の施行を前提とした初期治療(全身状態の改善,感染治療)を行うが,その際,急変時に備え,呼吸循環のモニタリング下に,全身状態の管理を心がけることが大切である。
注:「併存疾患がある場合」「急性膵炎が併存する場合」「原疾患が悪性疾患である場合」「高齢者」「小児」では,軽症,中等症であっても重症化しやすいため,慎重に対応する必要がある
急性胆管炎では,原則として,胆道ドレナージ術の施行を前提とした初期治療(全身状態の改善,感染治療)を行うが,その際,急変時に備え,呼吸循環のモニタリング下に,全身状態の管理を心がけることが大切である。
(1) | 重症例(ショック,菌血症,意識障害,急性腎不全のいずれかを認める場合):適切な臓器サポート(十分な輸液,抗菌薬投与,DICに準じた治療など)や呼吸循環管理(気管挿管,人工呼吸管理,昇圧剤の使用など)とともに緊急に胆道ドレナージを行う。 |
(2) | 中等症例:初期治療とともにすみやかに胆道ドレナージを行う。 |
(3) | 軽症例:緊急胆道ドレナージを必要としないことが多い。 しかし,総胆管結石が存在する場合や初期治療(24時間以内)に反応しない場合には胆道ドレナージを行う。 |
軽症例の多くの例(約75〜85%)は保存的治療に反応するとされているが,初期治療に反応しない例においては緊急ドレナージが施行される(レベル4)1,2,3,4,5)。