(旧版)科学的根拠に基づく急性胆管炎・胆嚢炎の診療ガイドライン
第V章 急性胆管炎 -診断基準と重症度判定-
4. 画像診断
3)MRI,MRCP(magnetic resonance cholangiopancreatography)
Q 34. 急性胆管炎におけるMRI,MRCPの適応と意義は?
急性胆管炎の成因診断におけるMRI,MRCP(推奨度B)
MRCPは特にUSで成因として結石が特定できなかった場合に,成因の検索に適しているが小結石の診断には限界がある。
MRCPは特にUSで成因として結石が特定できなかった場合に,成因の検索に適しているが小結石の診断には限界がある。
MRIでは急性胆管炎の際に,胆管拡張,胆管粘膜の浮腫,胆管周囲の浮腫や液体貯留などの描出が可能となる(レベル4)58) が,急性胆管炎の診断はMRIだけでは困難で,臨床所見,血液検査等を含めた総合的な診断が重要である。 MRCP(magnetic resonance cholangiopancreatography)は,T2強調像を用いて膵胆道系の管腔構造を画像化する撮像法で,急性胆管炎の成因となる胆管結石(レベル1b〜4)48,59),悪性胆管閉塞(レベル1b)59,60) などの描出率は良好である。 胆道系の全体像が把握できるので,ドレナージ法の選択にも役立つ。無侵襲で造影剤を必要とせず合併症がない,術者の熟練を要さないなどの利点を有するため,胆嚢摘出術の術前の胆管結石のスクリーニングと胆道系の解剖の把握や胆管結石治療後のfollow upなどにも適する。 従来,欠点として長い検査時間が指摘されていたが,フーリエ変換を改良したHASTE(Half-Fourier acquisition single-shot turbo spin echo)などの撮像法の開発により,撮像時間は大幅に短縮されている(レベル1b)60)。