(旧版)科学的根拠に基づく急性胆管炎・胆嚢炎の診療ガイドライン
第V章 急性胆管炎 -診断基準と重症度判定-
4. 画像診断
胆汁感染の有無を画像所見により判定することができないため,画像診断により急性胆管炎を診断することは困難である。 急性胆管炎における画像診断の意義は,主として胆道閉塞の有無,ならびにその原因となる胆管結石や胆管狭窄などを証明することにある。
存在診断……超音波検査,CTで胆管拡張,胆道気腫などの間接所見を得ることはできるが,これらだけでは急性炎症の有無の診断は不可能で,臨床徴候,血液検査所見などを加味した総合に診断する必要がある。
重症度診断……急性胆管炎の重症度は,敗血症や多臓器不全の進行度,すなわち全身状態により判定されるものであり,画像診断で得られる局所所見では判定はほとんど不可能である。
成因診断……胆管結石,腫瘍による胆管閉塞などの急性胆管炎の成因診断にはERCPが最も優れているが,近年,より低侵襲のMRCP(レベル1b)48),DIC-CT(レベル2b)49) などの有用性が報告されている。 しかしながら,急性胆管炎は重症化すれば急速に敗血症へと進展し致命的となる緊急性の高い疾患であるので,迅速な診断,治療が必要とされる。 したがって,中等症,重症の急性胆管炎と診断されれば,ドレナージ治療を前提としたERCPを優先させるべきである。 初期治療で軽快した軽症例の場合は,成因診断のために,MRCP,DIC-CTなどを,それぞれの特徴に応じて行うことが大切である。