(旧版)科学的根拠に基づく急性胆管炎・胆嚢炎の診療ガイドライン
第IV章 診療フローチャートと診療のポイント
4)急性胆管炎の診療のポイント
(1)初期治療,抗菌薬の選択については「第VI章/Q44.急性胆管炎の初期治療は何か?」参照のこと
(2)重症度判定はどのように行うのか?
急性胆管炎の重症度判定基準
(「第V章/Q24.急性胆管炎の重症度の定義と重症度判定基準は?」参照)
(「第V章/Q24.急性胆管炎の重症度の定義と重症度判定基準は?」参照)
重症急性胆管炎
急性胆管炎の内,以下のいずれかを伴う場合は「重症」である。 |
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(1) | ショック |
(2) | 菌血症 |
(3) | 意識障害 |
(4) | 急性腎不全 |
中等症急性胆管炎
急性胆管炎の内,以下のいずれかを伴う場合は「中等症」とする。 |
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(1) | 黄疸(ビリルビン > 2.0mg/dL) |
(2) | 低アルブミン血症(アルブミン < 3.0g/dL) |
(3) | 腎機能障害(クレアチニン > 1.5mg/dL,尿素窒素 > 20mg/dL) |
(4) | 血小板数減少*( < 12万/mm3) |
(5) | 39℃ 以上の高熱 |
軽症急性胆管炎
急性胆管炎のうち,「重症」,「中等症」の基準を満たさないものを「軽症」とする |
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*肝硬変等の基礎疾患でも血小板減少をきたすことがあり注意する。
付記:重症例では急性呼吸不全の合併を考慮する必要がある。 |
(3)どのように治療をすすめるのか?
急性胆管炎の診療指針(「第VI章/Q43.急性胆管炎における基本的診療方針は?」参照)
急性胆管炎を疑った場合には診断基準を用いて診断し,さらに重症度判定を行い,重症度に応じた治療を行う。
頻回に再評価を行う。
急性胆管炎では,原則として,胆道ドレナージ術の施行を前提とした初期治療(全身状態の改善,感染治療)を行うが,その際,急変時に備え,呼吸循環のモニタリング下に,全身状態の管理を心がけることが大切である。 |
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注:「併存疾患がある場合」「急性膵炎が併存する場合」「原疾患が悪性疾患である場合」「高齢者」「小児」では,軽症,中等症であっても重症化しやすいため,慎重に対応する必要がある |
(4)急性胆管炎の搬送基準は?
急性胆管炎の搬送基準
(「第V章/Q24.急性胆管炎の重症度の定義と重症度判定基準は?」参照)
(「第V章/Q24.急性胆管炎の重症度の定義と重症度判定基準は?」参照)
胆道ドレナージおよび重症患者の管理ができない施設では,対応可能な施設にすみやかに搬送するべきである。 | |||||||||
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(5)胆道ドレナージ法の選択については「第VII章/Q57.胆管ドレナージ法の選択は?」参照のこと
(6)一期的手術の適応は「第VII章/Q58.内視鏡的ドレナージの方法は?」参照のこと
(7)特殊な胆管炎(小児,高齢者,肝内結石,術後胆管炎等)については「第XIII章 特殊な胆道炎」参照のこと
(8)成因に対する治療法の選択については「第VII章/Q57.胆管ドレナージ法の選択は?」参照のこと