(旧版)科学的根拠に基づく急性胆管炎・胆嚢炎の診療ガイドライン

 
 
第III章 定義・病態と疫学


1. 定義および病態
1)急性胆管炎
定義
胆管内に急性炎症が発生した病態であり,その発生には(1)胆管内に著明に増加した細菌の存在,(2)細菌またはエンドトキシンが血流内に逆流するような胆管内圧の上昇,の2因子が不可欠となる2)

胆管炎の病態
胆道系は解剖学的に胆道内圧上昇による影響を受けやすい特徴がある。 胆道内圧上昇により細胆管が破綻,類洞への胆汁内容物の流出と血中への移行が起こりやすく,炎症の進展により肝膿瘍や敗血症などの重篤かつ致死的な感染症に進展しやすい。

急性胆管炎として一般的に知られている「悪寒・戦慄を伴う発熱」,「黄疸」,「腹痛」に加え,腎不全,DIC,意識障害,ショックなどを早期から呈するものや,保存的治療に抵抗性を示す症例,さらに,「重症(化)を意味する因子(「第V章/Q21.どのような因子があれば重症であるとされてきたか?」参照)」を呈する症例では,救命のために「早期の緊急胆道ドレナージ」を必要とする3)
胆管炎重症例では,速やかに適切な胆道ドレナージが行われない限り,急激な全身状態の悪化を来たし,不幸な転帰を辿ることが多い4)ことを銘記すべきである。

 

 
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