（旧版）高血圧治療ガイドライン2009

書誌情報

引用文献

<前へ次へ>

第12章二次性高血圧

POINT 12d

【脳・中枢神経系疾患による高血圧】

脳・中枢神経系疾患による高血圧には，脳血管障害（脳出血，脳梗塞，慢性硬膜下血腫）や，脳腫瘍，脳（脊髄）炎，脳外傷などでの頭蓋内圧亢進（クッシング反応），交感神経活動の中枢である頭側延髄腹外側野の周辺動脈による圧迫に伴うものなどがある。それぞれの原因に対する根治的治療を優先させる。

5．脳・中枢神経系疾患による高血圧

脳血管障害（脳出血，脳梗塞，慢性硬膜下血腫）における高血圧については第6章の「1．脳血管障害」で詳述されている。脳腫瘍，特に後頭蓋窩の腫瘍，脳（脊髄）炎，脳外傷などの中枢神経性疾患では，頭蓋内圧亢進による延髄孤束核など脳幹部の機械的ストレスを介して末梢交感神経活性が亢進し，高血圧を呈しうる（クッシング反応）^721）が，その頻度はまれである。ときに発作性の高血圧を呈して褐色細胞腫と誤診されることもある。また交感神経活動の中枢である頭側延髄腹外側野の周辺動脈による圧迫が交感神経活性亢進を介して血圧上昇・高血圧をもたらす機序と，実際に外科的圧迫解除により降圧した症例が1980年代に報告され^801），その後同様に頭側延髄腹外側野の周辺動脈による圧迫がもたらす交感神経活性亢進の高血圧への関与についての報告がなされている^{802）,803）,804）,805）,806）}。
頭部CTやMRIなどを用い速やかに脳腫瘍病変を検出し，摘出除去あるいは縮小などの根治的治療を優先させる。頭部外傷では，早期に静注麻酔薬を比較的高用量で投与することが，頭蓋内圧亢進の抑制と高血圧の管理に有用とされている。頭側延髄腹外側野への圧迫解除については，いまだ治療的意義が確立されておらず，降圧薬による治療無効例で考慮される^807）。降圧薬には，β遮断薬，α遮断薬，中枢性交感神経抑制薬を基本に，Ca拮抗薬などを併用する。

<前へ次へ>

目次タイトル
メモ（任意）

（旧版）高血圧治療ガイドライン2009

ガイドライン解説

診療ガイドライン検索