(旧版)高血圧治療ガイドライン2009

 
第10章 小児の高血圧


5.胎児期の栄養と高血圧

近年,胎生期の栄養状態が生活習慣病の発症に関係するという成績が多く報告されている。本邦の成績でも,3歳児の血圧は出生体重が小さいほど,また3歳時の体重が重いほど高かった666)。さらに4626人を出生から20年間追跡した成績では,出生体重が小さいほど,また3歳から20歳までの身長増加率が小さいほど,それぞれ独立して20歳時の血圧上昇と血清コレステロール上昇に関連していた667)
高度肥満小児を対象にした検討では,出生体重が小さいほど高血圧を含むメタボリックシンドロームになりやすいと報告されている668)。厚生労働省『人口動態統計』によると,平均出生体重は,1980年(昭和55年)3.19kgから2005年(平成17年)3.01kgまで減少傾向にあり,低出生体重児(2500g未満)の割合は1980年5.18%から2005年9.53%まで増加傾向にある。妊婦の栄養摂取不足も要因の一部と考えられ,妊娠前・妊娠中の女性は質・量ともバランスのとれた食事摂取が望まれる。したがって,将来の生活習慣病予防に加え,次世代の生活習慣病予防のためにも幼児期から適切な食習慣を形成することがきわめて大切である。

 

 
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