(旧版)高血圧治療ガイドライン2009
第1章 高血圧の疫学
POINT 1 |
- 本邦の高血圧者は,約4000万人にのぼる。
- 国民の血圧水準は1965年を頂点に1990年にかけて大きく低下した。この低下と本邦の脳卒中死亡率の減少はよく一致している。
- 血圧水準が高いほど,脳卒中,心筋梗塞,心疾患,慢性腎臓病などの罹患率および死亡率は高い。高血圧の影響は心筋梗塞よりも脳卒中により特異的であり,本邦では依然として脳卒中罹患率が心筋梗塞罹患率よりも高い。
- 若年者から高齢者においても,血圧値が高い人ほど循環器疾患罹患率・死亡率は高い。
- メタボリックシンドロームないしはリスクの集積している人では,循環器疾患罹患・死亡リスクは,そうでない人に比して1.5-2.4倍高い。
- 国民の食塩摂取量は依然として1日11g程度あり,食塩摂取量の多い状態が続いている。国民の食塩摂取量を減らすことは,国民の血圧水準を低下させるうえできわめて重要である。
- 高血圧未治療者の割合は高く,若年者では8-9割にのぼる。生活習慣の改善による血圧低下を図る必要がある。
- 高血圧者のうち,約半数が管理不十分と推定され,より強力な高血圧管理が必要である。
- 国民の平均値として,収縮期血圧水準が2mmHg低下すれば,脳卒中罹患率は約6%,虚血性心疾患は約5%減少すると推計される。減塩を含めた国民の血圧低下を促す環境整備が求められる。