(旧版)高血圧治療ガイドライン2004

 
第11章 二次性高血圧


6)薬剤誘発性高血圧

f 交感神経刺激作用を有する薬物

カテコラミン類似薬、例えばフェニルプロパノールアミンは総合感冒薬に含まれ、過量服用では血圧上昇をきたすことがある。β遮断薬単独服用時にはこれらの併用により著しい血圧上昇をきたすことがあり、注意を要する。三環系抗うつ薬は交感神経末端におけるカテコラミン再取り込みを抑制し、末梢交感神経抑制薬グアネチジン、ベタニジンの降圧効果を抑制する。クロニジン服用中の高齢者高血圧患者がイミプラミン追加により頻脈を伴う高血圧クリーゼ(230/124〜130mmHg)をきたし508)、また、四環系抗うつ薬がクロニジン服用患者において高血圧緊急症を呈したとの報告もある509)。モノアミン酸化酵素(MAO)阻害薬はパーキンソン病治療薬として適応が認められているが、稀に血圧上昇や起立性低血圧をきたす。MAO阻害薬と三環系抗うつ薬の併用は禁忌であるが、高血圧、失神あるいは死亡をきたすことがあり、エフェドリン、メチルエフェドリンとの併用では血圧上昇、頻脈をきたすことがある。コカインは表面麻酔薬として適応が許可されているが、不法な使用が問題となる。その血圧上昇の機序は交感神経末端でのカテコラミン再吸収の阻害による。消化器疾患治療薬メトクロプラミドはカテコラミン遊離促進作用があり、褐色細胞腫に用いると、高血圧クリーゼをきたし、褐色細胞腫を顕性化させる。抗うつ薬、β遮断薬、オピオイドなどでも褐色細胞腫の顕性化をきたすとされる。
 
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