(旧版)高血圧治療ガイドライン2004
第11章 二次性高血圧 |
6)薬剤誘発性高血圧
d シクロスポリン
シクロスポリンは臓器移植、骨髄移植などの拒絶反応の抑制に用いられる。腎移植後の長期追跡では50〜60%に高血圧が認められ、心臓移植後の90%に高血圧が発症したとされている。高血圧発症はシクロスポリン量、治療期間、病態別で異なるが、10〜80%に数週間で発症する。血圧上昇の機序503)として、(1) 腎循環の変化(腎血管収縮と食塩貯留に伴う高血圧)、(2) シクロスポリンの腎毒性(慢性腎硬化症に類似し、慢性腎不全を伴う)、(3) 交感神経刺激の増強、などが想定されている。シクロスポリンと併用する高用量のステロイド薬もNa貯留を介して高血圧発症に関連すると推測されている。
シクロスポリンによる高血圧では、Ca拮抗薬、利尿薬が使用されるが、一部のCa拮抗薬(ジルチアゼム、ニカルジピン、ベラパミルなど)はシクロスポリンの代謝に干渉してその血中濃度を上昇させるので注意を要する。