(旧版)高血圧治療ガイドライン2004
第11章 二次性高血圧 |
5)脳・中枢神経系疾患による高血圧
脳血管障害(脳出血、脳梗塞、慢性硬膜下血腫)における高血圧については第6章の脳血管障害で詳述されている。脳腫瘍、特に後頭蓋窩の腫瘍、脳(脊髄)炎、脳外傷などの中枢神経性疾患では、頭蓋内圧亢進による延髄孤束核など脳幹部の機械的ストレスを介して末梢交感神経活性が亢進し、高血圧を呈しうる(クッシング反応)489)が、その頻度は稀である。時に発作性の高血圧を呈して褐色細胞腫と誤診されることもある。また交感神経活動の中枢である頭側延髄外側野の周辺動脈による圧迫が、交感神経活性亢進を介して血圧上昇・高血圧をもたらし、外科的圧迫解除により降圧することが本邦の研究者により報告されている490)。
頭部CTやMRIなどを用い速やかに病変を検出し、摘出除去、縮小ないし圧迫を解除させる根治的治療を優先させる。頭部外傷では、早期に静注麻酔薬を比較的高用量で投与することが、頭蓋内圧亢進の抑制と高血圧の管理に有用とされている。降圧薬には、β遮断薬、α遮断薬、中枢性交感神経抑制薬を基本に、Ca拮抗薬などを併用する。