(旧版)高血圧治療ガイドライン2004

 
第11章 二次性高血圧


3)内分泌性高血圧

d 甲状腺疾患

(1) 甲状腺機能亢進症

治療により甲状腺機能が正常化するとともに、多くの例では収縮期血圧、心拍数は低下する476)
治療法として内科的治療、放射線治療、外科的治療(甲状腺亜全摘術)がある。内科的治療は初回治療としての禁忌がなく、また他の治療法への変更は随時可能であり寛解に至ることも期待できるので、第一選択である。放射線治療、外科的治療は甲状腺腫が大きい例、抗甲状腺薬治療で再発を繰り返す例、難治例、重篤な副作用発現例などが適応となる。
内科的治療には主に抗甲状腺薬(チアマゾールなど)が用いられる。動悸、頻脈および収縮期高血圧のコントロールにβ遮断薬が有効であり、抗甲状腺薬投与前から甲状腺機能の正常化まで用いられる。一方、RA系を抑制する降圧薬の効果は期待しがたい477)

(2) 甲状腺機能低下症

治療により甲状腺機能が正常化するとともに、多くの例で血圧の正常化をみる478)
甲状腺ホルモン製剤には乾燥甲状腺末、合成T3製剤と合成T4製剤があるが、通常、合成T4製剤を用いる。甲状腺ホルモン投与により狭心症、心筋梗塞を誘発することがあり、また、下垂体性甲状腺機能低下症あるいはSchmidt症候群で副腎皮質機能が低下している例では副腎皮質クリーゼ(adrenal crisis)を惹起することがある。
 
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