(旧版)高血圧治療ガイドライン2004

 
第11章 二次性高血圧


2)腎血管性高血圧

c 治療

(1) 降圧薬治療

血行再建までの期間や、血行再建が不可能な症例には降圧薬による治療を行う。腎不全例や両側狭窄のある例での薬物療法の効果は限定的である。降圧薬としてはRA系を抑制するβ遮断薬、ARBやACE阻害薬を選択する。Ca拮抗薬も有効であるが、利尿薬はRA系を亢進させるため、補助的な使用にとどめる。ARBやACE阻害薬使用時は、両側性腎動脈狭窄がないことを確認し、少量より投与を開始する。体液量低下例での過剰な降圧や、腎機能低下例での高K血症、腎障害の進行に注意し、用量を調整する。腎障害が急速に進行する場合には、直ちに投与を中止し、他の降圧薬に変更する。

(2) 血行再建

腎血管性高血圧に対しては、血行再建が原因除去のための第一義的治療である。多くの症例では、まず、経皮経管的腎動脈形成術(percutaneous transluminal renal angioplasty:PTRA)を試みる。本法は比較的侵襲が少なく、繰り返し施行できる利点がある。腎動脈の非入口部狭窄に対するPTRAの成功率は高く、1年後の再狭窄率は10〜30%とされる448)。特に、線維筋性異形成に対するPTRAの治療成績は良好であり、初期成功率100%、10年後の開存率87%との報告がある449)。一方、粥状動脈硬化は入口部に狭窄があることが多く、初期有効率65〜80%が得られても再狭窄率が高く、以前のPTRAの治療成績は必ずしも好ましいものではなかった450)。しかし、最近ステントが併用されるようになり、治療成績が向上してきており、腎機能や血圧の改善効果も期待できる451)。施設によっては、初期成功率90%、2年後の再狭窄率20%との成績も報告されている452)。ただし、粥状腎動脈狭窄に対する無作為化前向き試験で、ステントを組み合わせたPTRAが薬物療法よりも優れているという成績は得られていない453)。PTRAは線維筋性異形成に対しては問題なく適応できるが、粥状硬化に対しては副作用と得られる利益を十分勘案して、施行決定を行わなければならない。
PTRAでの血行再建が困難な場合、バイパス術や自家腎移植などの外科的血行再建を検討する。外科的血行再建術により腎機能の改善や安定化が本邦でも高率に得られている454)。片側性腎動脈狭窄により、一側の腎機能が完全に廃絶していると判断される場合は、腎摘出術(腹腔鏡下ないしは開腹手術)を行うことで、血圧の改善が期待できる。
 
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