(旧版)高血圧治療ガイドライン2004

 
第11章 二次性高血圧


2)腎血管性高血圧

腎動脈の血行力学的に有意な狭窄により腎灌流圧が低下し、RA系が賦活されて発症する高血圧であり、高血圧患者の0.5〜1%に認められる。狭窄の原因として比較的若年者に好発する線維筋性異形成(約38%)と、中・高年に多い粥状動脈硬化(約38%)が主要なものであり、若年女性に多い大動脈炎症候群(約15%)や先天性奇形、腎動脈瘤などもある。一側性狭窄が70〜80%、両側性狭窄が20〜30%であり、粥状動脈硬化では両側性狭窄が多い。
粥状動脈硬化では全身の動脈硬化が進行しており、心血管病の合併が多く、腎機能低下や蛋白尿を伴う症例も多い。高リスク患者における腎動脈狭窄の頻度は高く、高血圧、蛋白尿、腎障害があるとさらに高頻度となる。本邦の報告では、虚血性心疾患鑑別のため心臓カテーテル検査を受けた患者の7%438)、剖検で心筋梗塞を認めた患者の12%439)に腎動脈狭窄が確認されている。ただし、腎動脈狭窄が存在しても、腎血管性高血圧を発症するのはその一部であり、機能的な検討が必要である。高血圧のほかに糸球体濾過率の低下や腎実質の喪失をきたして腎不全を伴うと、虚血性腎症と呼ばれる。虚血性腎症は末期腎不全の基礎疾患の11〜14%を占める440)。虚血性腎症は見逃されている可能性があり、中・高年以降で腎障害が急速に進行する場合は、鑑別が必要である。一方、腎血管性高血圧では全身の臓器障害の進行、健側腎臓の腎障害の進行が速く、早期発見、早期治療が重要である。また、重症高血圧から悪性高血圧の原因となることもある。
 
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