(旧版)高血圧治療ガイドライン2004
第10章 小児の高血圧 |
3)小児・高校生における本態性高血圧の問題点
小児期・青年期の本態性高血圧は程度が軽いため重大な臓器障害を合併する可能性は少ないが、高率に左心室や左心房の肥大が認められるという報告がある402,403)。また、高血圧は動脈硬化の主要な危険因子であるほか、成人の本態性高血圧に移行する恐れがある。
正常または高血圧中学生を20年後に調査した成績では404)、高血圧者の割合はかつての高血圧群(20.9%)が、かつての正常血圧群(5.5%)より有意に多かった。高血圧の進展には家族歴、肥満、過度の飲酒や喫煙が関係していた404)が、喫煙以外はすでに指摘されている危険因子ばかりである。また、大学生を高血圧群と正常血圧群に分け、8〜26年間(平均17年)後に調査した成績では、高血圧群は44.6%が高血圧で、正常血圧群は9.2%が高血圧であった405)。高血圧への進展は、やはり家族歴、肥満、飲酒および喫煙が関係していた。海外における大規模な疫学調査でも、小児から成人に至るトラッキング現象が明らかにされている。