(旧版)高血圧治療ガイドライン2004
第9章 特殊条件下高血圧 |
4)女性の高血圧
b 経口避妊薬・エストロゲン補充療法に関連した高血圧
エストロゲンは経口避妊薬や更年期障害の治療薬として用いられ、大量使用では副作用として血圧上昇や血栓塞栓症をきたすとされてきた。エストロゲンの血圧上昇機序はアンジオテンシノーゲン産生量の増加に基づくアンジオテンシンII産生亢進が想定されているが、詳細は明らかでない。本邦での十分なデータがないので不明であるが、閉経期女性ではホルモン補充療法は血圧に影響しないと考えてよいが、高血圧の素因を有している場合には血圧が上昇することもあるので、数カ月に1回の血圧測定を行い、経過を観察する必要がある389)。しかしWHI(Women's Health Initiative)報告では閉経後女性においてエストロゲン・プロゲステロン配合薬は心血管事故を増加させたことから、最近では少量の慎重使用が推奨され、高血圧をきたすことは稀であると考えられる390)。本邦では経口避妊薬やホルモン補充療法に関して十分な解析が行われていないので、今後の課題となっている。