(旧版)高血圧治療ガイドライン2004

 
第9章 特殊条件下高血圧


2)高血圧緊急症および切迫症

c 高血圧性脳症

急激または著しい血圧上昇により脳血流の自動調節能が破綻し、必要以上の血流量と圧のために脳浮腫を生じる状態である。長期の高血圧者では220/110mmHg以上、正常血圧者では160/100mmHg以上で発症しやすい374)。最も重篤な緊急症で、適切に治療されなければ、脳出血、昏睡、死に至る。頭痛、悪心・嘔吐、意識障害、痙攣などを伴い、巣症状は稀である。蛋白尿や高血圧性網膜症がない症例もみられる。
脳血流の自動調節能が障害されているので、急激で大きな降圧では脳虚血に陥りやすい。用量を調節しやすい静注薬(持続静注)で治療を始める。血圧値と神経症状を監視しながら、降圧速度を調整する。最初の2〜3時間で25%程度の降圧が見られるように治療を行う。ニトロプルシド、ニカルジピン、ジルチアゼムが使用できる。細胞外液の増加を伴う例や耐性を生じた場合にはフロセミドを併用する。頭蓋内圧を上昇させるヒドララジンは用いない。
 
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