(旧版)高血圧治療ガイドライン2004

 
第9章 特殊条件下高血圧


1)難治性高血圧

a 定義と頻度

生活習慣の修正を行った上で、利尿薬を含む適切な用量の3薬以上の降圧薬を継続投与しても、なお目標血圧まで下がらない場合を、狭義の難治性ないし治療抵抗性高血圧と呼ぶ。しかし、本邦では利尿薬の使用が少ないため、実際には利尿薬を含まない場合でも難治性ないし治療抵抗性高血圧とされることが多い。治療抵抗性高血圧の最近の頻度は知られていない。大規模臨床試験のALLHAT、CONVINCE、LIFE、INSIGHTでは、目標血圧が140/90mmHg未満に設定されており、そのレベルまで降圧が認められなかった患者の割合は約30%から50%と報告されている109,116,258,366)。このうち前3つの試験では、約40%の患者が3薬以上の降圧薬を服用している。これらの試験では、高リスクの患者が多く含まれるため、実際の割合を過大評価している可能性がある。本邦では、140/90mmHg未満を目標とした大規模臨床試験の成績はまだ得られていない。本邦で、循環器内科医を対象として2000年に行われた調査では、高血圧患者のうちJSH2000の降圧目標を達成していたのは41.5%にすぎなかった367)。また、高血圧を専門とする医師と糖尿病を専門とする医師に対する2000年の調査では、140/90mmHg未満にコントロールされていた患者は、非糖尿病高血圧患者で40.5%、糖尿病合併高血圧患者で38.3%であった368)。これらは大学病院や専門施設などでの調査であり、治療に難渋した患者が紹介される頻度が高いことが考えられる。一般診療において140/90mmHg未満に達していない患者は少なくない。しかし、以下の要因を考慮して治療を行えば、真に難治性を示す患者の割合は減ると考えられる。
 
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