1) |
高齢者高血圧は加齢に伴う動脈硬化の進展により、収縮期高血圧の頻度の増加、脈圧の開大、起立性低血圧の増加などを特徴とする。高齢者高血圧の治療効果は利尿薬、Ca拮抗薬、ARB、ACE阻害薬を用いた大規模臨床試験で証明されており、80歳前半までは積極的な治療を行うべきである。降圧目標はいずれの年齢層でも140/90mmHg未満の降圧により予後改善が期待され、積極的な降圧が重要である。前期高齢(65歳以上)では140/90mmHg未満とする。後期高齢(75歳以上)においても特に軽症高血圧では140/90mmHg未満とするが、収縮期血圧160mmHg以上の中等症・重症高血圧では140/90mmHg未満を最終降圧目標とするが、150/90mmHg未満を暫定的降圧目標とする慎重な降圧が必要である。 |
2) |
非薬物療法は有用であるが、QOLに配慮して個々に方針を決定する。降圧薬治療としてはCa拮抗薬、ARB、ACE阻害薬、少量の利尿薬が第一次薬として望ましい。降圧効果不十分な場合はこれらの併用を行う。一般に1/2量から開始し、緩徐な降圧に心がける。 |
3) |
合併症を伴う場合は個々の症例に最も適した降圧薬を選択する。臓器血流が障害されている場合が多いので、過度な降圧にならないよう慎重に降圧を図る。 |