(旧版)高血圧治療ガイドライン2004

 
第7章 他疾患を合併する高血圧


まとめ

1) 糖尿病合併高血圧の降圧目標は130/80mmHg未満とする。
2) 糖尿病合併高血圧における降圧薬選択に際しては、糖・脂質代謝への影響と合併症予防効果の両面より、ACE阻害薬、ARB、長時間作用型ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬が第一次薬として推奨される。また、労作性狭心症や陳旧性心筋梗塞合併例では、β遮断薬も心保護作用のため使用可能であり、高脂血症や前立腺肥大合併時にはα遮断薬も使用できる。
3) 高脂血症合併高血圧の降圧薬選択に関しては、α遮断薬やACE阻害薬、Ca拮抗薬、ARBなどの脂質代謝改善効果を有するもの、あるいは増悪作用のない降圧薬が好ましい適応と考えられる。
4) 肥満を伴う高血圧の降圧療法は、食事療法や運動療法による減量療法とともに降圧薬治療が行われる。降圧薬は代謝面での特徴から選択し、ARB、ACE阻害薬、α遮断薬が勧められる。
5) メタボリックシンドロームは、本邦においても心血管病発症の重要な要因であり、高血圧治療上インスリン抵抗性改善に対する配慮が必要である。
6) 気管支喘息および慢性閉塞性肺疾患では、ARB、ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬が通常、使用される。ACE阻害薬は気管支過敏性を高めるため、必ずしも推奨できない。β遮断薬・αβ遮断薬は気管支喘息では禁忌とし、慢性閉塞性肺疾患では原則的に使用を避ける。
7) 痛風および高尿酸血症では、Ca拮抗薬、ACE阻害薬およびα遮断薬は尿酸値に影響せずに使用できる。ARBも大部分、影響しない。ARBロサルタンは尿酸排泄作用があり、有用視されている。利尿薬は尿酸値を上昇させ、痛風患者で急性痛風発作を誘発することがあり、禁忌として用いない。
8) 肝疾患合併高血圧では、定期的に肝機能をチェックし、薬物による肝障害が疑われる症例では薬物を中断し肝機能の経過を観察する。メチルドパは活動性肝疾患、メチルドパによる肝障害の既往のある患者では禁忌として用いない。肝硬変などで著しく肝機能が低下している症例では、肝代謝型降圧薬よりも腎排泄型降圧薬を選択するほうがよい。
 
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