(旧版)高血圧治療ガイドライン2004
第7章 他疾患を合併する高血圧 |
3)肥満
肥満者における高血圧の頻度は非肥満者の2〜3倍315)とされている。特に若年期からの体重増加が高血圧発症の重要な危険因子となる。肥満を伴う高血圧の成因に交感神経系、ナトリウム貯留/食塩感受性、インスリン抵抗性の関与が指摘されている。一方、肥満患者では睡眠時無呼吸症候群を伴うこともあり、睡眠時無呼吸症候群が高血圧の発症や増悪の原因となることもある。
降圧療法にあたっては、肥満に併存しやすい心血管病の危険因子を改善させる。まず、食事療法や運動療法による減量が行われるが、減量指導6カ月後も降圧不十分なら薬物療法を導入する。降圧薬は降圧作用以外の特徴から選択するのが実際的であり、脂質代謝異常を伴う場合はα遮断薬、糖代謝異常/インスリン抵抗性があればACE阻害薬、ARBが勧められる。サイアザイド系利尿薬は1日半錠であれば代謝への影響は少ない。肥満を伴う高血圧は治療抵抗性高血圧がまれでなく、そのような場合、サイアザイド系利尿薬は併用薬として有用である。