(旧版)高血圧治療ガイドライン2004
第4章 生活習慣の修正 |
7)その他の日常生活の注意事項
酸化ストレスが血圧上昇や心血管病の発症・進展に重要な役割を果たしているという成績が主に動物実験で報告され、ヒトにおいても抗酸化物質が降圧ならびに臓器保護作用を有する可能性が考えられている。しかし、ヒトにおける抗酸化物質(主にビタミンCやEなど)投与試験では有効性を証明しえなかったものも多く159,160)、現時点では投与を推奨するほどではない。
情動的ストレスと血圧との関係は一定しておらず、ストレスの評価法を含めた今後の検討が必要である。ストレス管理により血圧を下げる試みもなされており、バイオフィードバックやリラクゼーションが知られている。しかし、これらの方法は有効であったという報告がある一方、有効でなかったという報告も多いので、高血圧治療法としては確立されていない。
疫学研究から寒冷が血圧を上げることが示されており、冬季に血圧が高いという。また、心血管病による冬季の死亡率増加は、暖房や防寒の不十分な場合ほど高くなる161)。したがって、高血圧患者においては冬季の寒冷を避けるために暖房や防寒に気を配るべきで、見落とされやすいトイレや浴室なども十分に暖房をすべきである。
入浴に関しては熱すぎない風呂が好ましい。室温20℃以上、湯温40℃以下では血圧はほとんど上昇しないといわれているので、38〜42℃くらいで5〜10分間入浴することを目安にする。銭湯は熱すぎるのでよくない。冷水浴やサウナは避けるべきである。
便秘に伴う排便時のいきみは血圧を上昇させるので、便秘予防の指導、場合によっては緩下薬の投与を行う。
性交は血圧を上昇させるが、性生活において高血圧ゆえの問題はあまりない。ただし、心血管病を伴っている場合、刺激の強い性行為は慎むべきである。