(旧版)高血圧治療ガイドライン2004
第3章 治療の基本方針 |
3)治療法の選択
a 生活習慣の修正
公衆衛生審議会が1996年に、生活習慣の重要性を喚起し、健康に対する自発性を促し、生涯を通じた生活習慣修正のための個人の努力を社会全体で支援する体制を整備するため、それまでの成人病に代わって「生活習慣病」という概念の導入を具申した。ここでは健康的な生活習慣を確立することによって、疾患そのものの発症を予防する考え方が重視されている。高血圧も生活習慣病のひとつであり、生活習慣の修正によって高血圧を予防できる可能性が示されているだけでなく、降圧効果も証明されている110,111,112,113)。高血圧に脂質代謝異常、糖尿病など心血管病の危険因子が加わっている場合には、生活習慣の修正は重要な治療法である。この場合、特に最少の費用でこれらの危険因子を同時に減らすことができる。
生活習慣の修正のみでは多くの高血圧患者は目標とする降圧は得られないが、降圧薬の種類と用量を減らすことはできる114,115)。生活習慣の修正項目は、食塩摂取量の制限、野菜・果物の積極的摂取とコレステロール・飽和脂肪酸の摂取制限、適正体重の維持、アルコール摂取量の制限、運動、禁煙などである。