(旧版)高血圧治療ガイドライン2004

 
第3章 治療の基本方針


2)治療対象と降圧目標

a 治療対象

年齢:高血圧治療はすべての年代の高血圧患者が対象になる。ただし、欧米で行われた高齢者介入試験の成績92,101)から、80歳以上では高血圧が心血管病のリスクにはならない場合があり、超高齢者の治療効果は必ずしも期待できない(「第8章 高齢者高血圧」参照)。
血圧レベル:2003年のESH-ESCのガイドラインとWHO/ISHのstatementはJSH2000と同様140/90mmHg以上を高血圧とし、高血圧患者を心血管病に対するリスクによって層別化している。血圧と心血管病死を前向きに検討した61の試験のメタアナリシスの成績102)によると、血圧が115〜185/75〜115mmHgの場合には血圧の上昇とともに心血管病死亡が増加してくることが示されており、またFramingham心臓研究103)における長期間の観察では、正常高値血圧にある者は至適血圧値を示す者に比較して心血管病のリスクが倍増することを認めている。したがって、JNC7104)においては、前高血圧(120〜139/80〜89mmHg)例は生活習慣の修正の対象とし、高血圧(≧140/≧90mmHg)患者は生活習慣の修正と並行して、降圧薬治療の対象としている。
一方、本邦の疫学研究においては、140/90mmHg以上で北海道の端野・壮瞥町研究105)では心血管死亡が、福岡県の久山町研究13)では脳卒中発症率が有意に増加してくることが示されており、本ガイドラインにおける血圧分類の基本となっている。
なお高齢者の高血圧に関しても140/90mmHg以上は治療対象になると考えられる(「第8章 高齢者高血圧」参照)。
 
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