(旧版)高血圧治療ガイドライン2004

 
第2章 血圧測定と臨床評価


1)血圧測定

d 家庭血圧・ABPMで得られる情報


白衣高血圧:医療環境(外来等)で測定した血圧は常に高血圧で、非医療環境下で測定した血圧(家庭血圧、ABPM)は常に正常である状態をいう。これは未治療者における定義である。診療所血圧と家庭血圧の差は治療中の対象でも認められる。この現象を白衣現象と呼ぶ。白衣高血圧が有害か無害かはまだ確定していない。

逆白衣高血圧(仮面高血圧):白衣高血圧とは逆に、診療所血圧は正常であり、非医療環境での血圧値が高血圧状態にあるものを呼ぶ。治療者、未治療者を問わず認められる。診療所血圧では遮蔽(マスク)された高血圧という意味でmasked hypertension(仮面高血圧)とも呼ばれる。これには生理的な血圧日内変動の一部としての朝の血圧上昇や、降圧薬の薬効持続が不十分で、次回服用前の血圧が高血圧レベルに上昇してしまった結果の朝の高血圧が関係する。一般には家庭血圧により捉えられる。

早朝高血圧:早朝高血圧の厳密な定義はないが、起床後早朝の血圧が特異的に高い状況を早朝高血圧と定義できよう。家庭血圧、ABPMの測定で捉えられる絶対値としては、例えば朝の家庭血圧が135/85mmHg以上の場合早朝高血圧といえるが、特異的に朝の血圧が高いという定義からは、例えば朝の家庭血圧が、夜の家庭血圧に比べて高いという状況が見いだされねばならない。この早朝高血圧をもたらす血圧日内変動には二つの形がある。一つは夜間低値の血圧が早朝覚醒前後に急激に上昇して高血圧に至るモーニングサージと、もう一つは夜間降圧が消失したnon-dipper、あるいは夜間昇圧を示すinverted-dipperに認められる早朝高血圧である。両者とも心血管病のリスクとなりうると考えられている。

夜間血圧:ABPMによる睡眠時血圧を夜間血圧と呼ぶ。近年では家庭血圧測定装置によっても深夜睡眠時の血圧を自動的に測定することが可能になった。昼間の血圧レベルより10〜20%夜間降圧するものを正常型(dipper)とし、0〜10%の夜間降圧を示すものを夜間非降下型(non-dipper)、夜間に昼間より高い血圧を示すものを夜間昇圧型(inverted-dipper)、および20%以上の夜間降圧を認めるものを夜間過降圧型(extreme-dipper)と分類している。non-dipper、inverted-dipper の予後が不良であることは間違いないが、extreme-dipperの予後についてはまだ結論がでていない。
 
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