(旧版)腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン (改訂第2版)

 
 
第3章 診断

■ Clinical Question 7
神経根造影・ブロックは障害神経根の同定のために必要か

推奨

【Grade C】
画像上症候性圧迫が明瞭な腰椎椎間板ヘルニアでは神経根造影・ブロックは必須の検査法ではない.しかし障害神経根が決定できない腰椎椎間板ヘルニアでは有用な術前検査法である.


背景・目的

神経根造影は神経根ブロックと併用して各種腰椎疾患の診断・治療に使用される手技である.神経根造影は1)針による神経根刺激か造影剤注入時における放散痛など疼痛再現の確認により障害神経根を同定する,2)造影剤の広がりにより圧迫病変部位を絞り込む,の2つを目的として行われる.通常,引き続いて行われる神経根ブロックは1)注入液を1cc以下に制限して行い,症状が緩和した場合に当該神経根が病変であることを確認する方法と,2)注入液の使用量を制限せずに継続的な治療効果を期待して行う方法,との二通りの施行法がある.継続的な治療効果を期待したブロック以外では脊柱管狭窄症や変性側弯症など多部位の圧迫病変を有する病態,圧迫部位が明確でない椎間板ヘルニアなどが適応であるが,MRIで圧迫が明瞭で単一レベルの腰椎椎間板ヘルニアでは,侵襲的な検査である神経根造影やブロックは必ずしも要しないと考えられる.腰椎椎間板ヘルニア診断における意義に関して,文献的に調査した.

解説

腰椎椎間板ヘルニア48例について,MRI,CTM,神経根ブロックのなかから障害神経根同定にもっとも有用な検査法が何であるかを調査した研究では,神経根ブロックがもっとも価値のある検査法であると報告している(DJ00068, EV level 9).しかし,神経根ブロック229例の検証では過量な造影剤・局麻剤の使用により疼痛や神経所見の変化の把握が不正確になり再施行を余儀なくされた症例が4例あったという報告(D2J00757, EV level 9)があり,正確な刺入や適切な薬液量の使用など厳密性が要求される手技である.

文献

1) DJ00068 福田文雄,肱岡昭彦,成沢研一郎 ほか:腰椎椎間板ヘルニアにおける障害神経根の臨床・画像所見の感度.整外と災外2001;44:875-878
2) D2J00757 菊地臣一,松井達也,星加一郎:腰仙部神経根造影・ブロックの診断・治療上の限界. 整外と災外1984;27:1897-1904



 

 
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