(旧版)腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン (改訂第2版)
第3章 診断
■ Clinical Question 3
単純X線写真は腰椎椎間板ヘルニアの診断に必要か
推奨
【Grade C】
単純X線写真で腰椎椎間板ヘルニアの描出は不可能である.椎間板高の減少とヘルニア椎間の関係はない.しかし,腫瘍などの骨破壊性病変や脊柱変形でも神経根痛を主訴とすることがあり,他疾患を除外するためにも撮影しておくことが望ましい.
背景・目的
骨・関節疾患の画像診断のなかでもっとも基本的な診断法は単純X線写真である.この方法に腰椎椎間板ヘルニアの診断学的価値があるか否かを文献的に検討する.
解説
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単純X線写真所見 |
椎間板変性と単純X線写真所見には相関があるといわれる.慢性腰痛症患者100例において単純X線写真とMRIを併用した分析的横断研究では,単純X線写真上の椎間板高の減少,すべり,椎体終板の骨硬化などは椎間板変性の所見と相関するが,ヘルニアの診断に有効であるという証拠はないとし,ヘルニアの診断に単純X線写真を用いることはできないとした(DF00384, EV level 9). | |
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坐骨神経痛性側弯 |
側弯自体の存在がただちにヘルニアを意味するものではないが,ヘルニアによって生じる坐骨神経痛性側弯(sciatic scoliosis)を観察することにより,ヘルニアの局在や部位を示唆するいくつかの情報が得られる場合がある. | |
術前にsciatic scoliosisを呈する40例を調査した症例対照研究では,側弯からヘルニアの横断面での局在を予測することは困難であるが,80%の症例で側弯の凸側が罹患側であったとし,ヘルニア左右側の予測は可能であると報告している(DF00905, EV level 9).もう1つの研究でも,ヘルニアの罹患側と側弯の方向には有意な相関があるとしている(DF00254, EV level 9). |
文献