(旧版)腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン (改訂第2版)
第2章 病態
■ Clinical Question 1
高齢者における腰椎椎間板ヘルニアは青壮年と相違があるか
要約
【Grade C】
高齢者の腰椎椎間板ヘルニアでは青壮年者に比較して,SLRテストの陽性率が低い.ヘルニアのタイプは脱出型の頻度が多く,組織学的には青壮年と比較して,線維輪や椎体終板の断片を含むことが多い.
背景・目的
高齢者の腰椎椎間板ヘルニアでは青壮年者に比較して,SLRテストの陽性率が低いなど臨床症状の違いがみられることが知られている.ここでは高齢者の腰椎椎間板ヘルニアにおける臨床症状の特徴およびヘルニアの組織学的検討から,青壮年者の腰椎椎間板ヘルニアとの相違について検討する.
解説
臨床症状について60歳以上の腰椎椎間板ヘルニア30例と60歳未満の189例を比較した研究では,症状や神経学的所見に根本的な相違はみられないが,SLRテストの陽性率は高齢者76%,非高齢者87%であり,特に30°以下の陽性では高齢者3%,非高齢者40%と高齢者に陽性率が低い特徴が認められたと述べている(DF00757, EV level 6).しかし高齢者の腰椎椎間板ヘルニアではSLRテストの陽性率が40〜81%と報告者間に相違が認められ,椎間板膨隆を伴った脊柱管狭窄症を除外して検討することが重要であるとする論文もみられる((DJ10002, EV level 11).また,1988〜2001年に60歳以上の腰椎椎間板ヘルニア摘出術症例を対象とした研究では,臨床症状の特徴として腰椎後屈制限,Kemp徴候,歩行時の疼痛,SLRテストの陽性率が年齢とともに減少,下肢挙上角度は増大すると報告している(D2J00060, EV level 7).
神経根の圧迫の形態については,50例の術中所見を比較した研究があり,29歳以下では大部分の症例で髄核が後方に脱出して神経根を圧迫していたのに対し,60歳以上では全例終板を含む線維輪による神経根の絞扼がみられたと述べられている(DJ00804, EV level 7).
組織学的相違については,60歳以上の腰椎椎間板ヘルニア29例と59歳以下の104例を比較した研究があり,ヘルニアは髄核や髄核と線維輪のタイプから加齢に伴い軟骨終板を含むタイプに変化すること,および60歳代の70%,70歳以上の80%で軟骨終板を含むことが報告されている(DF02992, EV level 6).また高齢者の脱出型ヘルニア14例の組織学的検討により,8例57%が骨や軟骨終板を含んでいたとの報告もみられる(DF00442, EV level 7).
神経根の圧迫の形態については,50例の術中所見を比較した研究があり,29歳以下では大部分の症例で髄核が後方に脱出して神経根を圧迫していたのに対し,60歳以上では全例終板を含む線維輪による神経根の絞扼がみられたと述べられている(DJ00804, EV level 7).
組織学的相違については,60歳以上の腰椎椎間板ヘルニア29例と59歳以下の104例を比較した研究があり,ヘルニアは髄核や髄核と線維輪のタイプから加齢に伴い軟骨終板を含むタイプに変化すること,および60歳代の70%,70歳以上の80%で軟骨終板を含むことが報告されている(DF02992, EV level 6).また高齢者の脱出型ヘルニア14例の組織学的検討により,8例57%が骨や軟骨終板を含んでいたとの報告もみられる(DF00442, EV level 7).
文献