(旧版)腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン (改訂第2版)

 
改訂第2版の序


2005年6月に腰椎椎間板ヘルニアの診療ガイドラインが刊行されて以来すでに6年の歳月が経過した.その間には発症に関する遺伝的要因の研究,内視鏡手術の発展,保存的治療と外科的治療の予後の比較についてなど新しい研究結果が報告されるなか,改訂版作成の必要性が求められてきた.日本整形外科学会診療ガイドライン委員会のもとに腰椎椎間板ヘルニアガイドライン策定委員会が設けられ,日本脊椎脊髄病学会の全面的な支援のもとに2008年5月から活動を開始した.
委員会の組織は流れを引き継ぐ形で小森博達先生と私がメンバーとして参加した.多くの時間を共有して作業を進める必要があることから委員は関東地方から選出することとし,本疾患の診療,研究に精通した委員構成とした.改訂のコンセプトは,臨床一般医を対象として本疾患の概念や診療に必要な事項を理解しやすいように平易に表現するものとし,専門に偏りすぎないように配慮した.推奨グレードの定義は初版を継承する方針とし,クリニカルクエスチョンは検索された論文を吟味した結果から一部を整理し,一部を新設した.章担当者は採用された論文を加えて設問に対する回答を再検討し,推奨と解説文に修正を加えた.委員全員で繰り返し読み直し,内容を推敲した.誠に多くの時間を費やして作成に関わっていただいた委員全員に心よりの感謝を申し上げる次第である.
日常生活に密着した運動器の健康に国民の関心が高まるなか,腰椎椎間板ヘルニアは激しい痛みや著しい生活力の低下をきたすものとして多くの人の知るところであるが,正しい理解が十分に得られているとは言いがたいのが現状である.本ガイドラインは一般臨床医に向けて作成されており,特定の団体に利益が偏らないように細心の注意が払われている.本疾患の治療にあたる際に参考とし,正しい医療が行われるために活用していただきたいと考えている.ただし,本ガイドラインはあくまでも診断や治療における指針であり,個々の患者に短絡的に当てはめてはならない.担当医の知識と経験からそれぞれの状況に応じて適切な判断をすることが最も重要であり,この際に医師の裁量や患者個人の価値観が尊重されることが前提である.また,診療の実践内容を否定するための材料として使用すべきでなく,医療提供者の活動を拡大したり,制限したりする目的で使用してはならない.

2011年5月

日本整形外科学会
腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン策定委員会

委員長  宮本  雅史



 

 
ページトップへ

ガイドライン解説

close-ico
カテゴリで探す
五十音で探す

診療ガイドライン検索

close-ico
カテゴリで探す
五十音で探す