(旧版)腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン

 
第3章 診 断

 


5 椎間板造影は、腰椎椎間板ヘルニアの診断に必要か

推 奨
【Grade C】
椎間板造影が、腰椎椎間板ヘルニアの診断に必要な検査であることを支持する科学的根拠はない。しかし、ヘルニアの形態、特にヘルニアが後縦靱帯を穿破しているか否かの判定、および外側型椎間板ヘルニアの診断には、椎間板造影後CT(CTD)が有用である。

背景・目的
椎間板造影は、椎間板性腰痛(discogenic low-back pain)等の評価に用いられたり、椎間板変性の程度を知る目的で使用されることがある。 しかし、腰椎椎間板ヘルニアの診断に役立つか否かについては不明である。 文献的に調査した。

解 説
ヘルニアの診断に、椎間板造影自体が有用とする報告はないが、椎間板造影後CT(CTD)は、ヘルニアの脱出形態の評価に有用とする報告がある。
ヘルニア手術51例について各種画像検査と術中所見を比べた分析的横断研究では、ヘルニアの脱出形態評価には、椎間板造影後CT(CTD)がMRIよりも有用であるとした(DJ00880, EV level 9)。 同様に、ヘルニア患者40例について、後縦靱帯穿破の有無や局在診断を検討した記述的横断研究では、CTDがMRIよりも有用であるとしている(DJ00354, EV level 10)。
外側型腰椎椎間板ヘルニアに関してもCTDの診断的有用性を認める論文がある。 外側型ヘルニア患者25人に関して脊髄造影、MRI、CT、CTDの診断的価値を比較した記述的横断研究では、CTDが最も診断的意義が高いとしている(DF02650, EV level 10)。

文 献
1) DJ00880 東永廉,持田讓治,小長井淳弘:腰部椎間板ヘルニア脱出様式の検討.脊椎脊髄ジャーナル8:233-239,1995
2) DJ00354 洪定男,安間嗣郎,大野隆一ほか:腰椎椎間板ヘルニアにおける水平断画像所見の比較検討-CTD,CTM,MRI.整形外科50:234-237,1999
3) DF02650 Maroon JC, Kopitnik TA, Schulhof LA et al:Diagnosis and microsurgical approach to far-lateral disc herniation in the lumbar spine. J Neurosurg 72:378-382, 1990

 

 
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