(旧版)腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン

 
第1章 疫学・自然経過

 


6 椎間板ヘルニアはどのくらいの期間で自然縮小するのか

要 約
【Grade I】
種々の報告はあるが、詳細を明らかにしたものはない。これを明らかにするためには、年齢や性別、ヘルニアの形態などを一致させて検討する必要があるが、現状では研究デザインが不十分であり、時期は特定しがたい。

背景・目的
椎間板ヘルニアは自然消退することが知られているが、消退までどのくらいの期間を要するかを検討する。

解 説
保存療法を行った椎間板ヘルニアによる片側下肢痛を示した77(男48、女29)例、年齢41(18〜86)歳を対象にした報告がある。 このなかで、77例中35例(45%)は初回MRI撮影後平均195(29〜910)日で縮小または消失を認めた。 縮小または消失を認めた35例中16例(46%)は3ヵ月以内に変化を認め、残りの19例は3ヵ月以上で変化を認めた。 特に77例中36例はヘルニアがmigrationしたものであったが、28例(77.8%)が著明なヘルニアの縮小か消失を示した(DF01361, EV level 6)。
急性発症の椎間板ヘルニアに対し初診時・6週後・6ヵ月後に造影MRIを行った報告では、遊離脱出型で71%にサイズの減少を認めたとした。 また6週後のMRIでサイズが減少した例はなく、6ヵ月後のMRIではサイズの小さいヘルニアは縮小していなかった(DF01546, EV level 5)。
以上の報告は撮影間隔が一定でなかったり、期間が短すぎるので、椎間板ヘルニアは初回MRI撮影後3〜6ヵ月以内に縮小するものが多いが、それ以後に縮小する例もあり、ヘルニアが縮小する時期は個々の症例によって異なるとしか判断できない。

文 献
1) DF01361 Komori H, Shinomiya K, Nakai O et al:The natural history of herniated nucleus pulposus with radiculopathy. Spine 21:225-229, 1996
2) DF01546 Modic MT, Ross JS, Obuchowski NA et al:Contrast-enhanced MR imaging in acute lumbar radiculopathy:A pilot study of the natural history. Radiology 195:429-435, 1995

 

 
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