(旧版)腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン
第1章 疫学・自然経過
3 自然消退する椎間板ヘルニアの画像上の特徴は
要 約
【Grade B】
椎間板ヘルニアは自然縮小するものがある。ヘルニアのサイズが大きいものや、遊離脱出したもの、MRIでリング状に造影されるものは高率に自然縮小する。逆にヘルニアのサイズが小さいものでは低率である。
【Grade B】
椎間板ヘルニアは自然縮小するものがある。ヘルニアのサイズが大きいものや、遊離脱出したもの、MRIでリング状に造影されるものは高率に自然縮小する。逆にヘルニアのサイズが小さいものでは低率である。
背景・目的
腰椎椎間板ヘルニア患者において、経時的にMRI CTを行い臨床症状などと比較した報告について検討する。
解 説
保存療法が有効であった11人のヘルニア患者を対象にした報告では、11%の患者でヘルニアサイズが0〜50%減少、36%で50〜75%減少、46%で75〜100%減少していた(DF02711, EV level 7)。
165人の患者(平均40歳)に対して神経ブロックを施行し、1年間保存的に治療した106人について検討した報告では、84人中64人でヘルニアの縮小を認めた(52人が部分的、12人が完全)とした(DF02348, EV level 6)。
急性坐骨神経痛の47人に対して保存療法を行い、CTで1〜15ヵ月間ヘルニア塊の大きさについて検討した報告では、大きいヘルニア塊ほどサイズの減少を認めたとした(DF02351, EV level 4)。
またヘルニアのタイプ別の検討では、遊離脱出したヘルニアは吸収されやすく、膨隆型では吸収されにくいと報告されている(DF01760, EV level 7)。
造影MRIの検討では、リング状に造影されるヘルニアほど吸収されやすいとの報告がある(DF00898, EV level 5)。
以上の報告から、サイズの大きいヘルニアやMRIでリング状に造影されるヘルニアでは、画像上は自然縮小する可能性が高いといえる。
文 献
1) | DF02711 | Saal JA, Saal JS, Herzog RJ:The natural history of lumbar intervertebral disc extrusions treated nonoperatively. Spine 15:683-686, 1990 |
2) | DF02348 | Bush K, Cowan N, Katz DE et al:The natural history of sciatica associated with disc pathology:A prospective study with clinical and independent radiologic follow-up. Spine 17:1205-1212, 1992 |
3) | DF02351 | Maigne JY, Rime B, Delignet B:Computed tomographic follow-up study of forty-eight cases of nonoperatively treated lumbar intervertebral disc herniation. Spine 17:1071-1074, 1992 |
4) | DF01760 | Jensen MC, Brant-Zawadzki MN, Obuchowski N et al:Magnetic resonance imaging of the lumbar spine in people without back pain. N Engl J Med 331:69-73, 1994 |
5) | DF00898 | Komori H, Okawa A, Haro H et al:Contrast-enhanced magnetic resonance imaging in conservative management of lumbar disc herniation. Spine 23:67-73, 1998 |