(旧版)腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン
第1章 疫学・自然経過
1 有病率、性差、好発年齢、好発高位は
要 約
【Grade C】
腰椎椎間板ヘルニアは一般的な疾患であるが、有病率について詳細は十分明らかにはされていない。人口の約1%が罹患し、手術患者は人口10万人当たり年間46.3人という報告がある。男女比は約2〜3:1、好発年齢は20〜40歳代、好発高位はL4/5、L5/S1間である。
【Grade C】
腰椎椎間板ヘルニアは一般的な疾患であるが、有病率について詳細は十分明らかにはされていない。人口の約1%が罹患し、手術患者は人口10万人当たり年間46.3人という報告がある。男女比は約2〜3:1、好発年齢は20〜40歳代、好発高位はL4/5、L5/S1間である。
背景・目的
腰椎椎間板ヘルニアの有病率や性差、好発年齢、好発高位について過去の報告を基に概説する。
解 説
腰椎椎間板ヘルニアは一般的な疾患であるが、有病率についての詳細な報告はない。 米国では人口の約1%、年間280万人が罹患していると推定されている(DF01348, EV level 11)。
1950〜79年の30年間の調査で、初回手術を行った椎間板ヘルニアの頻度は年間人口10万人当たり46.3人、男女比は1.6:1であった(DF02724, EV level 10)。
手術を行った椎間板ヘルニア2,504例の報告では、男性1,763例(70.4%)、女性741例(29.6%)であった。 年齢は15〜19歳30例(1.2%)、20〜29歳292例(11.7%)、30〜39歳834例(33.3%)、40〜49歳859例(34.3%)、50〜59歳396例(15.8%)、60〜69歳89例(3.6%)、70〜74歳4例(0.2%)であった。 発生高位はL1/2が1例(0.05%)、L2/3が4例(0.2%)、L3/4が40例(1.8%)、L4/5が1,023例(47.4%)、L5/S1が1,089例(50.5%)であった(DF05157, EV level 7)。
手術を行った椎間板ヘルニア3,956例の報告では、男性2,579例(65.2%)、女性1,377例(34.8%)、年齢は30歳未満607例(15.3%)、30〜40歳1,428例(36.1%)、40〜50歳1,297例(32.8%)、50歳以上624例(15.8%)であった(DF00791, EV level 5)。
また、手術を行った椎間板ヘルニア984例の報告では、男性626例(64%)、女性358例(36%)、年齢42(16〜77)歳、発生高位はL1/2が2例(0.2%)、L2/3が9例(0.9%)、L3/4が43例(4.4%)、L4/5が460例(46.7%)、L5/S1が462例(47.0%)、複数椎間が8例(0.8%)であった(DF01737, EV level 5)。
わが国では、手術を行った椎間板ヘルニア1,216例の報告がある。 男性933例、女性283例でその比は3.3:1であった。 年齢は10歳代119例(9.8%)、20歳代461例(37.9%)、30歳代334例(27.5%)、40歳代207例(17.0%)、50歳代73例(6.0%)、60歳代22例(1.8%)であった。 発生高位はL4/5が656例55.6%と過半数を占め、次いでL4/5、L5/S1が231例(19.6%)、L5/S1が176例(15.0%)、L5/6が47例(3.9%)、L3/4、L4/5が23例(2.0%)、L3/4が13例(1.1%)、L4/5、L5/6が11例(0.9%)、その他が21例(1.9%)であった(DJ10004, EV level 7)。
文 献
1) | DF01348 | McCulloch JA:Focus issue on lumbar disc herniation:Macro- and microdiscectomy. Spine 21:45S-56S, 1996 |
2) | DF02724 | Bruske-Hohlfeld I, Merritt JL, Onofrio BM et al:Incidence of lumbar disc surgery:A population-based study in Olmsted County, Minnesota, 1950-1979. Spine 15:31-35, 1990 |
3) | DF05157 | Spangfort EV:The lumbar disc herniation:A computer-aided analysis of 2504 operations. Acta Orthop Scand(Suppl)142:1-95, 1972 |
4) | DF00791 | Donceel P, Du Bois M:Fitness for work after surgery for lumbar disc herniation:A retrospective study. Eur Spine J 7:29-35, 1998 |
5) | DF01737 | Davis RA:A long-term outcome analysis of 984 surgically treated herniated lumbar discs. J Neurosurg 80:415-421, 1994 |
6) | DJ10004 | 桐田良人:腰痛症・診断(高位診断を中心とした臨床診断について).あすへの整形外科展望’75,金原出版,東京,132-145,1975 |