(旧版)大腿骨頚部/転子部骨折診療ガイドライン (改訂第2版)
第10章 大腿骨頚部/転子部骨折の退院後の管理
■ Clinical Question 1
大腿骨頚部/転子部骨折を生じた患者は対側の骨折予防策を講じるべきか
推奨
【Grade B】
大腿骨頚部/転子部骨折を生じた患者は,対側の大腿骨頚部/転子部骨折のリスクが明らかに高いことから骨粗鬆症治療や転倒予防対策を講じることが望ましい.
サイエンティフィックステートメント
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大腿骨頚部/転子部骨折の既往は,対側の大腿骨頚部/転子部骨折のリスク因子で あるとする中等度レベルのエビデンスがある(EV level R-II). |
エビデンス
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3,900例の初回大腿骨頚部/転子部骨折患者の16年間の調査において,反対側の骨折の発生リスクは初回骨折リスクの男性で9倍,女性で6倍と増加した(F1F04402, EV level R-II). |
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835例の調査で94例が2回目の受傷.2回目の発生は3年以内が51%,5年以内が71%であった(F1J00008, EV level R-II). |
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504例の大腿骨頚部/転子部骨折患者を1年間追跡した調査で,5.6%に反対側の骨折発生(F1F00844, EV level R-II). |
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大腿骨頚部/転子部骨折患者1,685例中106例(6.29%)が反対側(両側)の骨折例.初回骨折から2年以内に75%が受傷(F1F02117, EV level R-II). |
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501例の大腿骨頚部/転子部骨折患者を25.5ヵ月フォローし,1年目で5.08%,2年目で8.11% に2回目骨折が発生した(F2F03333, EV level R-II). |
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デンマークでの大腿骨頚部/転子部骨折患者10,177例のコホート調査で,2回目の骨折受傷率は男性2.37/1,000人・年,女性2.93/1,000人・年であった(F2F03289, EV level R-II). |
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非黒人女性9,704例のうち,登録後に大腿骨頚部/転子部骨折を生じた632例のコホート研究で次の骨折の発生頻度を調査したところ,2.3%/人・年で発生し,これは同じコホートの初回骨折に比べて4倍高い.その危険因子として空間認識能力障害,低体重,歩行運動不足,踵骨骨密度低値がある(F2F03103, EV level R-II). |
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本邦における1,520例の大腿骨頚部/転子部骨折患者の後ろ向き調査で,両側骨折例では腰椎骨密度が低かった.対側の骨折は33%が1年以内,52%が2年以内に発症していた(F2J00146, EV level R-III). |
文献