(旧版)大腿骨頚部/転子部骨折診療ガイドライン (改訂第2版)
第9章 大腿骨頚部/転子部骨折のリハビリテーション
■ Clinical Question 3
退院後のリハビリテーションは有効か
推奨
【Grade B】
退院後のリハビリテーションの継続は有効である.
サイエンティフィックステートメント
![]() |
退院後家庭における理学療法,作業療法,荷重訓練,筋力訓練のプログラムが身体機能やQOLの向上に有効である(EV level II-1). |
エビデンス
![]() |
大腿骨近位部骨折後平均7ヵ月の高齢者42例に対して,理学療法士の家庭訪問でのリハビリテーション指導に基づいて1ヵ月間のホームエクササイズを行った介入群21例と対照群21例のRCTで,介入群で大腿四頭筋筋力の増大+53%(p <0.01)と歩行速度の向上+15%(p <0.05),転倒のリスク減少効果があった(F1F02600, EV level II-1). |
![]() |
入院100日以内に退院した患者304例で,退院後のmultidisciplinary rehabilitationおよびADL改善の作業療法による系統的リハビリテーションを行った介入群148例と通常のリハビリテーションを行った対照群156例を比較したところ,12ヵ月の検討でADL,社会活動,身体機能において両者には有意差はなかった(F1F01559, EV level II-1). |
![]() |
退院後の患者54例で家庭での理学療法プログラムについてRCTを施行,29例が脱落したが,追跡可能であった25例について(介入13例,対照12例),3ヵ月間の理学療法プログラムの介入によってコントロール群との比較で股関節機能と健康関連QOLが有意に改善した(p <0.05)(F2F00612, EV level II-1). |
![]() |
退院後の120例の患者について,家庭での荷重運動群40例と非荷重運動群40例,それぞれの効果についてコントロール群40例との比較をRCT研究で施行,4ヵ月間の介入によって荷重運動群でコントロール群に比べて有意にバランスとして functional reach(p <0.001,7.1 cm,95%CI 3.4〜10.9)および身体機能としてsit to stand(p <0.001,8.1秒,95%CI 3.4〜12.8)が改善した(F2F00606, EV level II-1). |
![]() |
平均年齢75歳の81例の大腿骨近位部骨折患者について,急性期病院からの自宅への直接退院および理学療法士(PT)の訪問リハビリテーション群40例と施設内リハビリテーション群41例とのRCT研究を行い,平均4.6回の訪問リハビリテーション群がリハビリテーション施設での36日間の施設内訓練群に比べて歩行能力に優れていた(p <0.05)(95%CI-0.40〜-0.01)(F2F01082, EV level II-1). |
![]() |
65歳以上の大腿骨近位部骨折患者100例に対して,作業療法の介入群50例と通常療法対照群50例のRCTを施行し,術後5日以降に作業療法を毎日45〜60分個別に行いさらに術後2ヵ月まで訪問作業療法リハビリテーションを行った介入群において,ADLおよびQOLの有意な改善をもたらした(F2F00035, EV level II-1). |
![]() |
75歳以上の63例の術後退院患者に対して,class-based訓練34例とhome-based訓練29例の2群を14週間施行してRCT研究で検討したところ,class-besed群で有意なQOLの改善が認められた(F2F01219, EV level II-1). |
![]() |
65歳以上の108例に対する8週間のhigh-intensity訓練(8段階からなるサーキットトレーニング)についてのRCT研究を施行し,70例が評価可能(38例が脱落)であったが,介入群とコントロール群の間に1年後の調査で有意な差は認められなかった(F2F03929, EV level II-1). |
![]() |
70歳以上の骨折患者194例に対するコホート研究でhome-based rehabilitation群とinstitutional-based rehabilitation群の比較研究を施行し,home-based rehabilitationがADLの改善に有効だった(F2F00617, EV level II-2). |
![]() |
65歳以上の患者で術後100日以内に自宅退院した304例について,multidisciplinary rehabilitationの意義についてRCT研究を行い,介入群とコントロール群の間に6ヵ月後と12ヵ月後の評価でADLに差はなかった(F2F00594, EV level II-1). |
![]() |
64歳以上の患者33例で骨折後の通常の理学療法治療が終了している高齢者に対してhigh-intensity(resistance training)群,moderate-intensity(aerobic training)群とコントロール群のRCTを行い,12週後の身体機能に差はなかった(F2F03361, EV level II-1). |
![]() |
術後6〜8週後の骨折女性患者28例に,週3回12週間のintensive理学療法の効果についてRCTを行い,介入群15例ではコントロール群13例に比べて身体機能や筋力に効果があった(F2F00164, EV level II-1). |
![]() |
本邦における65歳以上の骨折受傷後3ヵ月の695例の患者に対して,在宅自己リハビリテーションメニューを作成(ストレッチ,筋力訓練,歩行訓練)し,12ヵ月調査した.介入群のうち高度実施群においてコントロール群と比べて歩行能力と ADLが有意に良好だった(F2J01155, EV level II-2). |
![]() |
66例の術後回復期患者について,割付後に早期退院(48時間以内)および自宅での療法士グループによる在宅リハビリテーションの効果についてRCTを行ったところ,4ヵ月の介入で在宅リハビリテーション群が従来型ケア群に比べて身体的自立度が優れていた(p <0.05)(F2F01080, EV level II-1). |
![]() |
平均82.3歳の患者22例について地域連携クリニカルパス導入前後の比較を行ったところ,急性期病院の在院日数は有意に減少したが,回復期病院の在院日数に変化はなかった(F2J01177, EV level III-1). |
文献