(旧版)大腿骨頚部/転子部骨折診療ガイドライン (改訂第2版)
第8章 大腿骨頚部/転子部骨折の周術期管理
8.2.術後の酸素投与
8.2.術後の酸素投与
■ Clinical Question 3
術後の酸素投与は必要か
推奨
【Grade C】
術後の低酸素血症とせん妄状態の予防のために,術後酸素投与を推奨する.
サイエンティフィックステートメント
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術後2日間は低酸素血症が生じるが,3日目には改善傾向がみられる.この低酸素血症は術後せん妄の原因となる可能性があり,鼻腔カテーテルによる術後3日間の酸素投与(2L/分)が有益であったという中等度レベルのエビデンスがある(EV level III-3). |
エビデンス
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股関節手術の低酸素血症は少なくとも術後2日間は持続し,酸素投与で改善する.したがって,術後3日間の酸素投与が必要かもしれない(F1F03908, EV level II-1). |
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大腿骨頚部骨折患者22人の酸素飽和濃度をパルス酸素濃度計で連続的に計測した結果,術後何らかの原因により低酸素血症が生じ,精神錯乱状態の原因となる可能性が示唆された.これらの患者には酸素飽和度が正常になるまで鼻腔カテーテルにより術後2L/分で酸素を補給しなければならなかった(F1F04468, EV level IV). |
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大腿骨頚部骨折50例と人工股関節置換術50例の術後の血液酸素飽和濃度を調査し,酸素濃度低下とせん妄発生との間に関連性を認めた.術後,何らかの原因で低酸素血症をきたすが酸素の投与で改善し,せん妄の発生が抑えられる(F1F01065, EV level IV). |
文献